徐々に副業を容認する企業が増えてきました。パーソル総合研究所の「副業の実態・意識に関する定量調査(第2回)」によると、正社員の副業を容認する企業は2021年で55.0%となり、2018年(同51.2%)より上昇しています(条件付き容認を含む)。まだ半数近い企業が全面禁止しているものの、副業が少しずつ浸透しているのかもしれません。
副業にはさまざまなスタイルがありますが、アルバイトは比較的取り組みやすい方法ではないでしょうか。今日はアルバイトの実態や、会社員が副業を行う場合の注意点について解説します。
8月10日は「バイトルの日」
「バイトル」は人材サービスのディップが提供する、アルバイト・パートの求人情報サイトです。数字の8、1、10で「バ(8)イ(1)ト(0)ル」と読めること、またバイトルが8月10日に命名されたことから、8月10日がバイトルの日に選ばれました。当初はサービス名がないまま運営されていましたが、格闘技イベントにサービス名を掲載することになり、急きょ格闘技の「バトル」と「アルバイト」を掛け合わせてバイトルと名付けられたそうです。
アルバイトは若い世代がやるものというイメージがあるかもしれませんが、最近は年齢が比較的高い世代が担い手となっています。総務省の「労働力調査」によると、2021年時点で最もパート・アルバイトが多い年齢層は「45〜54歳(318万人)」で、次いで「65歳以上(270万人)」、「55〜64歳(269万人)」となりました。
特に「65歳以上」は近年大きく増加しました。これは団塊世代のリタイアや高齢化で母数が単純に増えたこと、健康寿命が延び定年を迎えても働き続ける人が増えたこと、公的年金の不足を労働で補おうとする人が増えたことなどが考えられます。
【年齢別、パート・アルバイトの就業者数】
総務省「労働力調査」より著者作成
【ディップの業績】
※2023年2月期(予想)は同第1四半期時点における同社の予想
出所:ディップ 決算短信より
新しい働き方「ギグワーク」とは?
副業としてアルバイトに取り組む場合、ネックとなるのは労働時間でしょう。本業で長く働いた後、さらに副業で長く働くのは現実的ではありません。そのような場合、労働時間が短いアルバイトを複数日に分けて行う方法が向いているでしょう。
同じように「ギグワーク」も選択肢となります。ギグワークとは一般に、企業と雇用契約を結ばず単発の仕事を請け負い、報酬を受け取る働き方です。報酬は労働時間ではなく成果で決まるため自由に働けるメリットがあります。
「ウーバーイーツ」の配達員はギグワークの代表例でしょう。他にクラウドソーシングやスキルシェアサービスで単発の仕事を受注する方法もあります。いずれも好きな時間に働けるため、会社員として働く人の副業には向いているかもしれません。
ただし、単発やごく短い労働時間のアルバイトをギグワークと呼ぶ人材サービス会社も多いため注意してください。この場合は通常のアルバイトと同じく、指定された労働時間で働かなければいけません。もちろん、条件が合えば成果報酬型と時間給型のどちらを選んでもよいでしょう。
副業しても大丈夫? 税金は? 副収入を得る場合の注意点
会社員が副業に取り組む場合、まずは勤め先が副業を認めているか確認しましょう。冒頭でお伝えした通り、副業を認めていない企業はまだまだ多いです。就業規則などで禁止されているにもかかわらず副業を始めた場合、ペナルティーが課せられる可能性があります。
本来、私たちには自由に働く権利があり、企業にそれを制限することはできません。しかし、一定の条件の下で副業を禁ずることは認められています。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、過去の判例などから以下のようなケースでは副業禁止が認められやすいようです。副業禁止が違法であるように解説されることもありますが、そうではないことに注意してください。
【副業の禁止が認められるケース】
・労務提供上の支障がある場合
・業務上の秘密が漏えいする場合
・競業により自社の利益が害される場合
・自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
出所:厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
また、副業で収入を得る場合は税金にも注意しましょう。副業で利益を得た場合、基本的には確定申告が必要です。細かいルールはありますが、副業で20万円を超える所得(利益に相当)を得た場合は確定申告が必要だと覚えておいてください。
【会社員の副業で確定申告が必要になる主なケース】
・1カ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
・2カ所以上から給与の支払いを受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
出所:国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。