一言に「お金持ち」といっても、人それぞれでお金持ちになる経緯は違います。
ある人は、親から多大な財産を相続することでお金持ちになります。またある人は、幸運にも事業が「当たって」、財を築きます。ほかにも、財産を持つパートナーと結婚する人もいれば、正真正銘、自分の力……すなわち努力でお金持ちになる人もいます。
お金持ちになる方法はさまざまありますが、どの方法を選ぶかは人それぞれですし、どう頑張っても選べない選択もあります(それこそ、子どもは親を選べないですから、相続できるかどうかはどんな親のもとで生まれるかという運しだいです)。
運に頼らずとも「努力でお金持ちになる」チャンスがあるものです。ここで気になるのが、実力でお金持ちになる人となれない人とでは、何が違うか?でしょう。
そこでこの記事では、「努力でお金持ちに成り上がる」人の特徴を探ります。
労働意欲の源泉
米国での研究によると、お金持ちに成り上がる人の多くは、幼少の頃から「欲しいものを手に入れるためには働かなければならない」環境にいました。幼少期というのは、だいたい9歳から10歳のことを指します。
彼らは、子どもの頃から、「欲しいものを手に入れるためには、誰かの役に立つ(=働く)必要がある」と教わってきたか、あるいは身をもって体験してきたのです。
「働かざるを得ない」と書くと、生活のつらさが思い浮かびますし、実際にそうなのでしょう。とはいえ、「欲しいもののために働く」という、いわば独立した考え方を子どもの頃から培った人は、欲しいものを手に入れるために、人一倍努力できるようです。
一方、「欲しいものがあるなら誰かにねだればよい」と教えられたり、そういう環境で育ったりした人は、労働意欲に乏しいです。努力しないでも欲しいものが手に入るので、「どうしてわざわざ働く必要があるのだろう?」と、自分で何とかしようとせず、他人任せになってしまうからです。
昔、筆者の知人に、それはそれは甘やかされて育った男の子がいました。当時、受験勉強をしている浪人生だった彼は「俺は、いままで自分が欲しいと思ったものは、なんでも手に入れてきた」と得意げに話していましたが、「それは親に与えてもらっただけで、すねをかじっていることをどうして誇らしそうなのだろう?」と不思議に思いました。
筆者も貧乏な生まれではありませんし、親にも大いに甘やかされて育ちました。これは幸運ではあるものの、その一方では「甘えてしまう自分が恥ずかしい」とも感じています。結局、彼がその後どうなったのかは、詳しく知りません。
ドラッカーの教え
現代経営の父ピーター・ドラッカーは、ビジネスで成功する人々には「なすべきことをなす」という共通点しかないと述べています。
つまり、自分が求める結果のために、なすべき努力をストイックにこなせる人が成功するというのです。受験勉強で「なすべき勉強」をなしたエリートやスポーツ競技で「なすべき鍛錬」をなしたアスリートは、いつの時代も労働市場で優遇されます。それもそのはずで、欲しいもののためにさえ努力できない人を雇っても、怠けられるのがオチだからです。
まとめ
自力でお金持ちに成り上がるのは「欲しいもののために努力できる人」が多いです。貧乏な環境で育って、そのことにコンプレックスを感じる人ほど、ガツガツ働いて成り上がることがありますが、一定のハングリー精神は成り上がりに不可欠な要素だと言えます。
また、子育てをしている筆者からすれば、「欲しいもののために自分で努力する経験」を、自分の子どもにも早いうちから経験させるべきだと考えています。筆者自身、子どもの頃には、「遊戯王カード」のパックを1つ買ってもらうために、風呂掃除したり、雑草を抜いたり、裁縫したりと、家事を手伝ったものです。
友人の中には手伝いなしにおもちゃを買ってもらう子も多かったですが、いま思えばこのときの経験は、「働かざる者食うべからず」という、成り上がりに不可欠な素養を培うのに良いものでした。
お金持ちに成り上がる人々は、「欲しいものを手に入れるために、なすべきことをなす」という共通点があります。この当たり前をどれだけ真剣に突き詰められるかが、成り上がりの成否を決めるのだと思います。
文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)
18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。