筆者はこれまでこのサイトで、まず状況として「韓国と北朝鮮の統一(朝鮮半島再統一)」、しかも、北朝鮮主導の「赤化統一」の予想を書いた。それは「統一朝鮮」、または新しい半島国家が中国と親密な国となり、米国や日本などの諸国と、かつての米ソのような「新冷戦」関係に入ることを意味する。
韓国は「徴用工」を始めとして、日本に対して様々に不条理な行動をしているが、これは北朝鮮と統一するための「禊」と考えているようだ。
逆にこのような時に合理的な理由などがあってはいけないのである。日本ではなく、北朝鮮と統一するための韓国の政治的な姿勢を証明しているのである。要は日本経済との親密な関係を切ることを“示す”ことが必要なのである。
日本の支援は「予定」済み
この北朝鮮の国際社会と世界経済への復帰、韓国と一体化した改革開放である「統一」の時期については、筆者は早くても、今年10~12月と見ている。それは資金援助があると、彼らが「予定」している日本の事情による。
今年、日本は重要な政治日程が幾つもある。統一地方選挙が4月、即位礼正殿の儀が5月、参院選が7月、そして消費増税が10月と、大きな社会的反応が予想される外交対応は、10月以前では政治的な影響が大きすぎる。
2月初旬、東ドイツ出身のメルケル・ドイツ首相が来日していたが、首脳会談の中で、東西ドイツ統一の際の問題点などが話題に出た可能性が高い。
朝鮮半島再統一には莫大な資金が必要となり、日本にも資金援助の依頼が来る可能性が極めて大きい。そして、東アジアの安定のために、何らかの形で行わざるを得なくなるだろう。
この日本からの資金援助は極めて重要であり、統一の時期については、日本の政治日程に配慮してくれることになろう。
この資金援助の形は、単純な形だといわゆる「スワップ協定」、円の国際化を意識するのであれば、「日本政府保証付き円建て東アジア安定債」(仮称)が考えられる。筆者は、これが国際金融における「円の国際化」、そしてその先にある「日本国債の国際化」においてメリットがあると考えられる。
世界の投資資金が統一バブルに期待
さて、そのような大きな流れがスタートし、すでに「赤化統一」、つまり北主導の一体化の準備が進んでいる。その1つが、70社といわれている多数の日本企業に巨額の罰金が掛けられ、在韓資産や工場が韓国に収用されていくことだ。それはすなわち、すでに共産主義がスタートしていると認識できることができる。
このように海外からの直接投資が収用されるという状況に対し、本来ならば、その後、海外からの投資が回避してしまう可能性が高いが、不思議なことに、今回のケースではそうなっていない。
この3年の韓国の通貨(ウォン)および株式の動きを振り返ってみると、確かに、昨年10月ごろ共に急落している。
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一部には、米韓金利差拡大や米中貿易戦争の影響を理由に挙げる向きもあるが、そうではない。10月に徴用工訴訟問題の結審が、引き金となって通貨も株式も下落したのである。資産の国有化をする国に投資をするわけがないのである。
もともと韓国は、自国が輸出志向の4割と高いため(日本は意外に低く1割)、米国にも指摘されているが、輸出を有利に進めるため自国通貨のウォンを安く誘導する傾向があった。
しかし、その下落の後、韓国文政権が徐々に北朝鮮に政治的に接近していくと、為替レートと株価が安定し、むしろ上昇に転じている。
さらにいうならば、ウォンの対ドルレートと、対円レートを比べると、大変興味深いことに、対ドルレートの方が戻りが大きい。つまり、世界と日本を比べると、世界から韓国へ投資が増えている可能性が高い(日本からの投資はまずは当然減少し、その後も国際水準よりも低いということになっている)。
その理由は、北朝鮮との統一で韓国景気が良くなるという「バブル」の様相を呈していることにある。世界中をみても、良い投資先が不足しており、世界の投資家が北朝鮮バブルに投資しようとする向きが多いのも理解できる。
その結果として、韓国は経済のファンダメンタルズが弱くなっているにも関わらず、通貨も株式も下落しない、むしろ上昇しているのである。
もはやお祭りムード
韓国国内はもはや北朝鮮との統一で、お祭り的な明るい雰囲気になっている。
統一の喜ばしい効果として徴兵制の廃止がある。いわれてみれば敵がいなくなるので、それはそうである。青年期の2年間の徴兵制がなくなるのは、個人的にも、産業的にも望ましいのである。
大統領である文在寅(ムン・ジェイン)は、もともとは北朝鮮(地域)生れの方で、朝鮮戦争の時に南の韓国に来た。彼は政策としてもともと北朝鮮との親密化の方針を示していた。
ドイツが第2次世界大戦によって分断された国家(民族)の悲願として、30年ほど前再統一したイメージを自らに重ね、朝鮮半島は統一に向かって行く可能性が高い。
これは、途中で米朝の交渉に多少の不調があろうとも、南北ともに大きな流れとして変わらないだろう。それほど南北とも、特に南にメリットが大きいからである。
早ければ今年10~12月ぐらいには、新たな経済圏という形で姿を現してくる。そして、新冷戦も始まる。いうまでもなく、それは日本経済にとっては良い事ではないのだ。