医師が警告!「心臓に悪い”4つの油”に要注意だ」 あなたが使っている「その油」、本当に大丈夫?

生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで「血管の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。

テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。

過去15キロ以上の減量に成功し、その減量メソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッドに続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』を上梓した。

「人生100年時代」を最期まで元気に満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなどなどあらゆる観点から解説し、「100年もつ心臓」を作るための秘訣を全公開した1冊だ。同書は発売わずか6日で2万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいる。

その池谷氏が「心臓に悪い『4つの油』」を「おすすめのいい油」とあわせて解説する。

油には「心臓にいい油」と「心臓に悪い油」がある

日々の食生活の中で「油」は欠かせないものです。焼く、炒める、揚げるなどの調理に使うだけでなく、ドレッシングや飲み物に混ぜるなど、私たちは、さまざまな形で「油」をとっています

「脂質」は、体内において「細胞膜」をつくる大事な栄養素です。

しかし、「油」には「心臓に悪い油」が多くあり、この「悪い油」を大量に摂取してしまうと、心臓に「大きな負担」をかけてしまいます。

一方で、「心臓にいい油」もあります

そういう「いい油」を使えば、「悪い油」よりも心臓への負担は少なくなります

では、「心臓に悪い油」「心臓にいい油」とはどのようなものでしょうか。

ここでは、代表する4つの「悪い油」と、私がおすすめする「いい油」を紹介します。

ひとつめは、「肉の脂身やラードの『飽和脂肪酸』」です。

【悪い油1】肉の脂身やラードの「飽和脂肪酸」

「脂質」は人間に必要な栄養素のひとつですが、「悪い油」を大量に摂取してしまうと、「血管」にダイレクトに悪影響を及ぼします。

油は「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」に分けられますが、とくに注意が必要なのは「飽和脂肪酸」です。具体的には「肉の脂身」「ラード」などです。

これらは、とりすぎると「悪玉コレステロール」や「中性脂肪」を増やし、「冠動脈の動脈硬化」を進めて「虚血性心疾患」のリスクを上げてしまうのです。

「肉の脂身」「ラード」のほかには「乳製品の脂肪分」も要注意です。乳製品は体にいいと思われがちですが、脂肪分をとりすぎてしまうと、結果的に心臓に負担をかけてしまうので気をつけましょう。

「冠動脈」とは心臓を取り巻く血管のことで、ここから心臓に栄養や酸素が供給される。冠動脈が「動脈硬化」を起こしてしまうと、心臓に十分な血液が流れず、最悪の場合は「心筋梗塞」などを引き起こしてしまう(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)

「サラダ油」は、多くの人にとって盲点になりがち

【悪い油2】紅花油やサラダ油の「リノール酸」「アラキドン酸」

「不飽和脂肪酸」は、「オメガ6系不飽和脂肪酸」「オメガ3系不飽和脂肪酸」などに分類され、「オメガ6系不飽和脂肪酸」には「リノール酸」「アラキドン酸」などがあります。「リノール酸」は体内で「アラキドン酸」に変換されますが、気をつけたいのが、この「アラキドン酸」です。

「アラキドン酸」は、とりすぎると体内で炎症を引き起こし、「動脈硬化」を進行させてしまうことがわかっています。

かつて「リノール酸」は体にいいとされ、摂取が推奨されましたが、いまはほとんどの人が「リノール酸」が過剰であり、その摂取を控えめにすべき状態にあります。

「リノール酸」が多く含まれるのは、「紅花油」「コーン油」「大豆油」「ごま油」など。とくに多くの人にとって盲点になりがちなのが、これらの油を使った「サラダ油」です。

サラダ油は家庭で調理にも使われるほか、外食や冷凍食品、お惣菜にもたっぷり使われています。くれぐれもとりすぎには要注意です。

「マーガリンやショートニングの『トランス脂肪酸』」も、注意が必要な油のひとつです。

「普段よく食べる加工品」にも「落とし穴」がある

【悪い油3】マーガリンやショートニング、加工品に含まれる「トランス脂肪酸」

「肉の脂身」や「サラダ油」などの油の種類とは別に、注意したい油が「トランス脂肪酸」です。

「トランス脂肪酸」は油を生成・加工する過程でできてしまうものなのですが、これが「動脈硬化」の原因のひとつになるとされています。

「トランス脂肪酸」は「マーガリン」「ショートニング」などに多く含まれるほか、多くの加工品にも含まれている可能性があります。

加工品の一部として「スナック菓子」「カップラーメン」「ショートケーキ」「ファストフード」「菓子パン」などが挙げられますが、いずれも普段よく食べているものばかりです。くれぐれも注意しましょう。

マーガリン、乳製品の脂肪分、ショートニングは「心臓に悪い油」なので、できるだけ避けたほうがいい(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)

【悪い油4】どんな油も「酸化した油」はNG

いままで注意が必要な「悪い油」を紹介しましたが、どんな油でも気をつけたいのが「酸化」です。とくに高温の油で揚げたものは、「油の酸化」が進んで、「過酸化脂質」が発生します。

「酸化した油」は、体内においてもまわりの脂質を酸化させてしまうため、血管にダメージを与え、「動脈硬化」の促進につながりやすくなります。

よく「揚げ油は何度も使ってはいけない」といわれていますが、その理由は「何度も使うことで『油の酸化』が進むこと」から来ています。

「揚げ物」自体も「高カロリー」「高脂質」になりがちです。さらにそこで「酸化した油」を使ってしまったら、ますます心臓への負担が大きくなってしまいます。

「心臓の健康」を考えるなら、あまり頻繁に食べるのは禁物です。

「悪い油」を紹介してきましたが、今度は私がおすすめしたい「いい油」です。

【いい油】おすすめしたいいい油は「オリーブオイル」

私が「オリーブオイル」をすすめる理由は、「アラキドン酸」のもととなる「リノール酸」の含有率が低いからです。

私も、「魚のホイル焼き」の味付けに使ったり、池谷家特製の「野菜ジュース」にたらして飲んだりと、普段の食事でよく利用しています。

オリーブオイルには「抗酸化作用」がありますが、開封後2カ月以上経過すると、酸化が進んでしまいます開封後は早めに使い切るようにしましょう。

また、ドレッシングなど加熱しない場合は、「オメガ3系不飽和脂肪酸」「えごま油」「亜麻仁油」などをおすすめしています。これらは熱に弱いので、加熱するような調理には向きません。生(非加熱)で食べましょう。

オリーブオイル、えごま油などは「心臓にいい油」なのでおすすめ(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)

心臓に「いい油」「悪い油」をきちんと知ることが大事

「油」は「心臓によくない食べ物」の代表格で、とりすぎは「動脈硬化」を促進しかねないのは事実です。「悪い油」をできるだけとらないことが大事ですが、ただしすべての油が悪いということでは当然ありません

心臓に「いい油」「悪い油」をきちんと理解して、上手に食生活に取り入れていけば、「心臓の健康」にもつながっていきます

心臓に「いい油」「悪い油」を知って、「心臓の健康」を保ち、人生100年時代を最期まで元気に満喫できる「100年心臓」を、ぜひ手に入れてくださいね。

著者:池谷 敏郎

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