2021年、全国の地方銀行・第二地方銀行を揺るがした地銀再編。東北も例外ではなく、青森銀行とみちのく銀行(青森市)が22年4月の経営統合によるプロクレアホールディングス(HD)設立を発表。東北銀行(盛岡市)の同10月のフィデアHD(仙台市)傘下入りへ協議が始まった。東北の13行・グループは11に絞り込まれ、統合によらない連携の動きも続く。
「生産性3倍に」
今年11月12日、青森県内で長年しのぎを削ってきた青森銀、みちのく銀が経営統合契約を締結した。ともに22年1月26日の臨時株主総会で承認を求め、HD発足2年後の24年4月をめどに両行の合併を目指す。
「両行の強みを生かし、安定したサービスを提供できる経営基盤をつくる」(青森銀の成田晋頭取)。金融仲介機能と金融サービスの強化、経営の合理化・効率化などによる統合効果は26年度に20億円、29年度に50億円を見込む。
東北銀とフィデアHDは今年7月、統合協議に入ることで基本合意。統合準備委員会と8部会での協議が順調に進めば22年2月中旬に最終契約を迎える見通しだ。HD傘下の荘内銀行(鶴岡市)、北都銀行(秋田市)と合わせて、東北3県を主な経営基盤とする広域金融機関が誕生する。
フィデアHDの田尾祐一社長(荘内銀頭取)は「経営統合は3年半かけて温めた話。3行で生産性は3倍になる」と説明。東北銀の村上尚登頭取は「商圏拡大を期待する声に応えたい」と意気込む。
これら二つの経営統合が実現すれば、連結総資産の単純合計でプロクレアHDは東邦銀行に迫る東北3位に躍進。フィデアHDは東北4位で、岩手、秋田、山形の各県トップ行を上回ることになる。
業務提携に効果
一方、岩手銀行と秋田銀行は10月27日、包括業務提携を結んだ。人口減少や低金利の長期化が続く中、地域活性化や収益力強化を図る。資本提携や経営統合は現段階で予定していない。
秋田銀の新谷明弘頭取は「同じ境遇にある岩手銀と地域のコンサルティングに資する能力を互いに高める」と強調。青森銀を含む3行で取り組んできた商談会やシステム共同化はこれまで通り進めるが「岩手銀とはさらに深い連携を図っていく」と意義を語る。
地銀連合による「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIグループは21年、東北での連携拡大はなかったが、既に資本業務提携した銀行で効果が表れている。福島銀は21年度4~9月の手数料収入で、1億円超の増加に貢献。じもとHD(仙台市)傘下の仙台銀行は、共同出店で金融商品を提案する「マネープラザ」の収益が当初見込みの約2倍となり、有価証券の運用も安定した。
東邦銀行は全国10行でつくる「TSUBASAアライアンス」に参加する。佐藤稔頭取は「事業者の体力を高めるための連携」として、現時点で単独で存続する方針は変わらない。