大坂なおみ選手のラケットが「市販品」って本当? YONEXに仕様を聞いてみた

テニスの4大大会の1つ、全米オープンシングルスで優勝し、グランドスラムを日本人初制覇した大坂なおみ選手。その快挙もさることながら、トッププレイヤーにも関わらず特注ではなく「市販品」のラケットを使用している、ということに注目が集まっている。

大坂選手と契約するYONEXのサイトには、使用ラケットは「EZONE98」とある。価格も定価3万3000円プラス税と、同社が販売する中・上級者向けモデルのラケットとしては一般的だ。

しかし、「契約選手は表示されたモデルとは異なる仕様、カスタマイズされたラケットを使用する可能性があります」とも記載されている。実際のところどうなのか。広報担当者に聞くと、「ほぼ同じですが、市販品とはやや異なります」という答えが返ってきた。

元グリップが革 一般に流通していないモデルだが「それ以外は市販品と同じ」

 

「大坂選手は、多くのプロ選手が好むように、ラケットのグリップ部分に最初からレザーが巻いてある仕様になっています。この仕様の製品は一般には流通していません。しかし、それ以外の部分は市販品と同じです」

ガットは市販品で間違いないという。縦糸は、ポリエステルで出来た「POLYTOUR PRO125」(定価2300円プラス税)、横糸は、ナイロンとポリウレタンで出来た「REXIS130」(定価2800円プラス税)を使用している。牛の腸などで出来たナチュラルガットと比べると、価格は3分の1から4分の1だ。

大坂選手と同じ仕様にしたければ、「元グリップのテープを外し、自分でレザーテープに貼り替えればそれらしくなる」という。選手のラケットには内側に5グラムの重りが付いているが、これは利用者が個々に調整するほうが良いだろう。

同社の販売する本革テープ(定価1800円プラス税)も合わせると、大坂選手仕様に限りなく近いラケットは5万円以内で完成する。

ラケットもガットも爆売れの予感「ベスト16入りした頃から問い合わせ増えている」

担当者によると、プロの選手が市販品を使うのはかなり珍しいことだという。

「通常、契約選手にはまずは市販品を使っていただき『シャフトの柔らかさが欲しい』『もう少し飛びが欲しい』などのフィードバックをもらった上で、選手ごとにカスタマイズするのが普通です。大坂選手も、何回か色んなモデルを試しているとは思いますが、その中でも一般的な仕様のものを気に入り、使っているのだと思います」

優勝とグランドスラム達成は、製品の売れ行きにも影響を与えそうだ。大坂選手がベスト16入りした9月2日頃から、スポーツ用品店からの問い合わせが増えているという。

「ゼビオやアルペン、ヒマラヤなどの大型店舗から『発注数を増やしたい』『在庫が少なくなっている』という声は来ていました。現在(編集部注:9月10日正午頃)の状況はまだ確認出来ていませんが、問い合わせは来ていると思います」

一部報道では、大坂選手が優勝した場合、同社はオリジナルモデルを作る予定だとも言われたが、担当者は「今のところ、作る予定はありません。ちょっと盛って書かれてしまいました」と報道内容を否定した。

ネットでは、市販品とほぼ変わらないラケットで優勝を勝ち取った大坂選手に、「(決勝戦で)特注をたたきつけたセリーナとは大違い」「特注品だと思ってた」と驚く声が上がっている。

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