就職活動まっさかりの今。実は、企業にとっては、女子学生の採用確保がひとつの課題となっている。
■女性の採用状況を把握するのは義務
なぜなら、2016年から女性活躍推進法が施行され、社員301人以上の企業に対しては、自社の女性の活躍状況の把握が義務付けられている(300人以下の企業は努力義務)。その活躍状況を知る指標のひとつに、「採用者に占める女性比率」があるからだ。
この法律では、勤続年数の男女差や労働時間の状況、管理職に占める女性比率と同様に、女性社員の状況を把握し、課題分析を行うよう求めている。さらに、女性を積極的に活用している企業を国が認定する「えるぼし」制度もつくられているが、女性の競争倍率(応募者数÷内定者を含む採用者数)を男性と同程度にすることが認定基準のひとつになっている。いずれにせよ、企業にとって女子学生が関心を示してくれることが、採用活動では重視される方向に向かっている。
では、逆に女子学生が注目している企業は、どんな企業なのか?
東洋経済オンラインでは、就活中の学生を対象にした、「就職ブランドランキング調査」の結果を定期的に発表している。2018年春に大学や大学院を卒業する予定の学生を対象にした調査結果も、すでに発表(2018年卒対象の総合順位はこちら)しているが、男女別や文理別といった属性別のランキングについても作成している。今回は、女子学生を対象にした、「就職人気ランキング・女子学生版」の上位100社を見ていこう。
このランキングは文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の調査を基にしたもので、調査対象者は、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録している学生。2016年12月1日から2017年3月31日までが調査期間となっている。なお、ランキング表には参考値として、2018年卒・前半の総合順位と、前年同時期の女子順位を掲載している。
■食品メーカーもまだまだ根強い人気
1位は全日本空輸(ANA)がランクイン。前年の4位からのランクアップとなり、圧倒的な得票数で総合でも1位になった。キャビンアテンダント(CA)の正社員化や総合職で女性の採用が増えていることが要因として挙げられる。
さらには航空業界自体が女子で人気になっていることも挙げられる。日本航空(JAL)も前年の9位から5位にランクアップした。さらに、ANAやJALの関連会社である、ANAエアポートサービスが7位、JALスカイも8位に入っている。CAなど、航空事業の仕事を「あこがれの仕事」ととらえる女子学生も多いが、今年はそうした層が例年より多かったようだ。
2位と3位にはメガバンクが入った。前年1位のみずほフィナンシャルグループは今年は2位に。その影響か、総合順位も3位になってしまった。三菱東京UFJ銀行も1つ順位を下げているとはいえ、このメガバンク2行の人気はまだ根強いといってよいだろう。
女子ランキングでは食品メーカーの人気が強く、今年はさらにその傾向が強まった。4位の明治グループ(明治・Meiji Seikaファルマ)は、前年の7位からランクアップし、そのほか9位森永製菓(前年27位)、16位味の素(前年37位)など多くが順位を上げている。
そのほか、11位オリエンタルランド(前年23位)、14位資生堂(前年33位)、17位博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ(前年33位)などが前年から順位をアップさせている。
■調査について
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ!」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙アンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌の同送ハガキアンケート
※投票者1人が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式
調査期間:2016年12月1日~2017年3月31日
回答数:16851(うち男子6223、女子10628/文系14155、理系2696)
総得票数:47778票
※男女比を1:1にするため、男子得票数に1.707857946を掛けたポイント制とした
「就職」を重視する学生は「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下、ランキングを算出。就職者誘引度は学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度ゼロ、仕事イメージのみで投票した場合は100とし、得票平均値を就職誘引度としている。総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランキングを計算。社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記