仙台市青葉区の定禅寺通で、地元のまちづくり団体が、景観に配慮した広告物で得た収入を地域活性化に生かす「エリアマネジメント広告」の導入を検討している。ケヤキ並木の景観維持とにぎわい創出を両立させる市内初の試みで、2023年度の開始を目指す。市は地域独自の動きに歩調を合わせ、屋外広告物の規制を緩和する方針。
「共感広告」の手法採用
沿道の商店会や町内会でつくる「定禅寺通街づくり協議会」と、協議会のまちづくり関連の事業を実施する一般社団法人「定禅寺通エリアマネジメント」が一体で取り組む。
想定する広告は、街路灯に掲げる旗の一部に企業・団体名を表示するフラッグ広告と、歩道などに設けるコンテナタイプの店舗の壁の一部を使う壁面広告の2種類。定禅寺通のまちづくりに賛同する企業から募る「共感広告」の手法を採用する。
広告料収入は、定禅寺通への新規出店を促すチャレンジショップ、歩道へのテーブルやベンチの設置などの事業費に加え、定禅寺通エリアマネジメントの運営費に充てる考え。
22年7~9月にエリアマネジメント広告を用いた社会実験を実施し、来訪者アンケートで8割超が好意的に受け止めた。
同法人の榊原進専務理事(48)は「エリアの価値が高まれば、広告の価値も高まる。ケヤキ並木の景観を維持しながら、持続可能なまちづくりを進めるためにも必要な取り組みだ」と意義を強調する。
にぎわいと両立
定禅寺通は市屋外広告物条例に基づき、1998年に景観に配慮が必要な「広告物モデル地区」に指定され、広告の内容、大きさ、色彩などが制限されている。まちづくり団体はエリアマネジメント広告を貴重な収入源と位置付け、景観と調和する形での導入を模索していた。
市はまちづくり団体の意向を踏まえ、今年3月をめどに広告物の企業名などの表示の割合を全体の「5分の1」から「3分の1」に広げる方向で検討する。
市都市景観課の担当者は「広告物をまちづくりに生かす動きは東京や大阪といった都市部で進む。景観とにぎわいの両立はエリアの活性化につながる」と説明する。