JA全農みやぎは8日、県内各JAに支払う2022年産米の概算金を決めた。主力品種のひとめぼれ(60キロ、1等米)は1万800円で、21年産を1300円(13・7%)上回った。主食用米からの大規模な作付け転換や販売戦略、他産地の動向などを考慮し、主力全5品種を19年産以来、3年ぶりに引き上げた。
県産米の概算金の推移はグラフの通り。デビュー5年目のブランド米「だて正夢」は21年産比2000円(20・0%)高い1万2000円。21年産の価格を抑えたことで量販店で一定の販売先を確保し、評価を高めた状況を踏まえた。
余剰感膨らむ可能性
来年に品種登録60年を迎えるササニシキは1万1100円(1500円増)で、つや姫が1万900円(1300円増)、もち米のみやこがねもちが1万3500円(500円増)。
新型コロナウイルス禍で低迷した中食・外食需要は回復しつつあるが、全国の民間在庫量は今年6月末現在で217万4000トン、県内は14万1600トンに上り、依然高水準にある。
県内の生産現場では大豆や飼料用のコメ、子実トウモロコシなどへの転作が拡大。22年産主食用米の作付面積は21年産実績(6万1000ヘクタール)より5%以上減る見込みだが、作柄概況(8月15日現在)は「やや良」と豊作基調。各産地の作況次第では余剰感が膨らむ可能性がある。
引き上げの動き相次ぐ
関係者によると、22年産米の概算金は北陸や北海道、関東などの主産地でも引き上げの動きが相次ぐ。大幅な作付け転換やロシアのウクライナ侵攻に伴う生産コスト上昇が背景にある。
全農みやぎの関係者は「需要減少が大きい業務用から家庭用へのシフトを進めるなど、販売棚を早期に確保するための価格水準とする必要がある」と説明。「作柄や需給環境が固まり販売が見通せた段階で、速やかに追加払いの実施を検討する」と話す。
各JAは全農みやぎの概算金を基に、農家に支払う生産者概算金を決める。