年収400万円「ふつう世帯」の貯蓄と負債を紐解く。年齢別の平均給与もグラフで確認

8月のお盆休暇が終わり、久々に実家に帰省された方やご家族との時間を楽しまれた方も多いのではないでしょうか。 【グラフ】所得金額別の世帯数と、19歳以下~70歳以上男女別の平均給与はいくらか(出所:国税庁など) 夏になると旅行やレジャーなどにイベントも増え、ついつい出費が多くなりがちです。一方で、貯蓄の妨げになる計画性のない支出はなるべく控えたいものです。 「貯蓄」と聞くと、自分と年齢の近い人の年収や貯蓄額を気にされる方も多いと思います。 今回は、日本の平均年収とその貯蓄事情について注目していきます。

日本人の平均年収は433万円。世帯の所得の中央値も400万円台

国税庁の「令和2年(2020年)分民間給与実態統計調査」によれば、日本人の平均給与は433万円となっています。 また、厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」では、1世帯当たりの平均所得金額は552万3000円、中央値は437万円です。平均値と中央値では中央値の方が実態に近いため、400万円台がふつうと言えるでしょう。 そこで今回は、世の中の実態に近い「年収400万円台世帯」のお金事情についてみていきたいと思います。

【男女・年齢別】日本の平均給与を深掘り

まずははじめに、日本の平均給与を国税庁「令和2年(2020年)分民間給与実態統計調査」より深掘りします。 日本の平均給与の内訳  ・【平均給与】 433 万円(男性532万円、女性 293 万円)  ・【平均給料・手当】 369 万円(男性 449 万円、女性 254万円)  ・【平均賞与】 65 万円(男性 83 万円、女性 39 万円) 給与面に関しては、平均給料・賞与に至っても、男女で金額差が出ています。 雇用形態や年齢によっても収入は変わってくるので一概には言えませんが、次に年齢別の平均年収を見ていきましょう。 年齢別の平均給与 1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では 60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい、平均給与も高くなっています。 各年齢の中では、55~59 歳の階層(668万円)が最も高くなっています。 一方で、女性では年齢による較差はあまり顕著ではないことが読み取れます。

年収400万円台世帯「貯蓄」はどのくらい?

では、「年収400万円台」のはたらく世帯の貯蓄事情を見ていきましょう。 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にします。 ※四捨五入の関係で、各項目の合計と「平均貯蓄額」は一致しない場合があります。 【年収400万~450万円(平均年収426万円)の勤労世帯】 平均貯蓄額:912万円  貯蓄の内訳 金融機関…897万円  ・通貨性預貯金:317万円  ・定期性預貯金:303万円  ・生命保険など:225万円  ・有価証券:52万円 金融機関外…15万円 【年収450万~500万円(平均年収474万円)の勤労世帯】 平均貯蓄額:784万円  貯蓄の内訳 金融機関…765万円  ・通貨性預貯金:277万円  ・定期性預貯金:237万円  ・生命保険など:157万円  ・有価証券:94万円 金融機関外…19万円 「年収400万円台」世帯の貯蓄額は、1000万円の大台にあと少しで手が届きそうといったところですね。住宅ローンや教育費などに家計を圧迫され、なかなか思うように貯蓄がはかどらないというご家庭もあるかもしれません。 貯蓄の内訳をみると、いずれも預貯金が約6割を占めています。 まだまだ日本では預金中心の貯蓄が多い傾向がありますが、最近ではつみたてNISAやiDeCoといった国の税制優遇制度を利用した資産形成を少しずつ始めている方も増えているようです。

年収400万円台世帯「負債」はどのくらい?

続いて、貯蓄とは別に「負債」はどのくらいあるのかを見ていきましょう。 貯蓄と負債、つまりプラスマイナスの資産はセットにして考える必要があります。 同調査から、年収400万円世帯の負債額について確認します。 【年収400万~450万円世帯の負債】  ・平均負債額・・・521万円  ・うち「住宅・土地のための負債」・・・486万円 【年収450万~500万円世帯の負債】  ・平均負債額・・・693万円  ・うち「住宅・土地のための負債」・・・652万円 全年収帯にはなりますが、同調査の二人以上の世帯に占める負債保有世帯の割合は約4割(37.7%)でした。 また、負債の種類別にみると負債現残高の約9割(90.5%)を占めるのが「住宅・土地のための負債」という結果でした。 人生の3大資金といわれる「住宅購入資金」が家計に大きく影響することがわかります。

年収400万円台世帯「純貯蓄額(貯蓄-負債)」はどのくらい?

続いて、貯蓄から負債額を引いた「純資産額」も見ていきましょう。 【年収400万~450万円世帯の純貯蓄額】  ・912万円(貯蓄)-521万円(負債)=391万円 【年収450万~500万円世帯の純貯蓄額】  ・784万円(貯蓄)-693万円(負債)=91万円 貯蓄額、純貯蓄額ともに、年収400万円台前半世帯のほうが高くなっています。 「収入が増えたとしても、その分支出も増えてお金が貯まりにくい」ということもよくあります。 単純に比較する限り、年収が高いほど貯蓄ができているとは言えないことが結果として出ていますね。

年収400万円台世帯「家族構成」は?

年収や貯蓄に大きく関係するのが家族構成です。最後に「年収400万円台」の世帯の家庭の状況についてみていきましょう。 年収400万~450万円世帯「家族のすがた」  ・世帯主の平均年齢・・・50.7歳  ・世帯人数の平均・・・3.10人 (うち18歳未満の世帯人員・・・0.81人)  ・世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・39.1% 年収450万~500万円世帯「家族のすがた」  ・世帯主の平均年齢・・・49.8歳  ・世帯人数の平均・・・3.18人 (うち18歳未満の世帯人員・・・0.85人)  ・世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・48.2% 同じような収入でも、ライフスタイルや家族構成はそれぞれ異なります。住む地域や共働きかどうかでも、家族のお金事情は当然変わってきます。 とはいえ、いわゆる「標準的な年収の世帯」のお金事情を見ていくことで、特にこれから家庭を持つ予定の若い世代の方がライフプランを考えていくうえで、少しでも参考になれば幸いです。

現状を見つめ直しできることからはじめよう

今回は年収と貯蓄について注目しました。 貯蓄を増やすためには、稼ぐことも大切ですが、年収が上がることで貯蓄も増やせるとは言い切れません。高収入であっても、浪費や生活レベルを上げてしまうと、貯蓄ははかどりません。 貯蓄がなかなかできないという方は、まずは現状を見つめ直し、できることから少しずつ行動しましょう。ちょっとした無駄遣いに気付くきっかけとなるかもしれません。 メリハリのついたお金の使い方を意識し、計画的なライフプランを考えていきましょう。

参考資料

 ・国税庁令和2年分民間給与実態統計調査」  ・厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」  ・総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」  ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」第8-2表

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