従業員の不満投稿が多い“ブラック”企業ランキング2023上半期

インターネット上には勤務先の給料や待遇などの不満があふれる。ダイヤモンド編集部は、企業の与信管理を支援するベンチャーが集めた大量の口コミデータなどを基に、働き方に関する従業員の不満が多い“ブラック”企業ランキングを作成した。対象期間は2023年1月から6月までの半年間。上位は銀行や保険会社のほか、鉄道、自動車、電機、建設などの大手が名を連ねた。(ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

ネガティブ投稿を収集しランキングを作成

 ダイヤモンド編集部は、企業向けに与信管理サービスを提供するベンチャー企業、アラームボックス(東京・新宿区)のデータを基に、ネガティブな口コミが多く集った企業のランキングを作成した。

 期間は2023年1月から6月までの半年間。同期間中に口コミ投稿があったのは調査対象企業1万2026社のうち1759社だった。今回取り上げる働き方に関するネガティブ情報は4599件で、1社当たりの平均は約2.6件だったが、ランキング上位に名を連ねた企業は、平均をはるかに上回るネガティブな投稿があった。

 鉄道会社や保険会社などがランキング上位となったほか、自動車メーカーや電機メーカーもトップ10にランクインした。

 次ページからは、ランキング上位の会社の実名と投稿数とともに、具体的な投稿内容も明らかにする。

 さっそくランキングと投稿内容を見てみよう。

図表:2023年上半期にネガティブ投稿が多かった企業一覧トップ3© ダイヤモンド・オンライン

トップはJR東日本2位は日本生命

 23年1~6月にネガティブ投稿が最も多かったのはJR東日本で、投稿数は49件に達した。

 投稿で目立つのは働き方に関する不満だ。人手不足による残業の多さや、心身への負担の大きさを指摘する投稿などが目立った。投稿内容は下記の通りだ。

「人員が減少し、以前より少ない人数で仕事しなければならず、体力的にも精神的にも限界」

「人員不足のため、希望した休日はなかなか取れないし、シフト勤務なので休めず、現場の社員は高熱だろうが、這(は)ってでも出社している」

「近年退職者も増えたため、月40~50時間の残業が当たり前のようになっている。コロナを機に環境が一変し、ホワイトからブラック寄りの企業になっている」

 また、待遇面では、コロナ禍による賞与の減少に関する不満が目立った。

「基本給が低く、賞与で調整する傾向にあるが、コロナ禍以降、賞与額が上がらず、不満を持つ人が多くなっている」

「基本給が安く抑えられていて、ボーナスでとんとんになる。しかしコロナ禍でボーナスがカットされて厳しくなっている」

「会社はさまざまな施策を打ち出しているが、賃金減少、待遇悪化、そして自己啓発活動の強要により、現場の疲労感がすごい」

 さらに人事面では、年功序列などの硬直的な組織や、改革への後ろ向きな対応などの不満が目立った。新型トラック在庫ぞくぞく増加中

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「完全な年功序列。『変革』や『モードチェンジ』などと言うが前例踏襲だらけ。変化を嫌う人が多く、やる気のある人にはかなり苦痛。最近は40代以下の離職者が多発している」

「改善活動はまだまだ白い目で見られるし、管理者も、上に言われたからやっているスタイルの人間が多い。努力が報われる評価体制にしないと、優秀な人間に逃げられる」

「リスクの種類にかかわらず、徹底的に回避する傾向があるため、新規事業や構造改革のアイデアを持っていても、それを実現するビジョンが見えない」

 2位は日本生命保険で、投稿件数は38件。

 目立つのは働き方に関する不満だ。特に保険契約のノルマや営業方法に関する投稿が目立つ。

「ノルマに追われ、プライベートの時間に仕事を持ち込まなければならない。プレッシャーを感じて精神的に参ってしまいそう」

「契約が取れず解職になると営業部の人数が減ってしまうため、家族や友人に契約をすすめるように上司から指示が入る。また、友人やお客様を職員として入社させるよう、しつこく紹介をせまられる」

「昔ながらの体育会系の営業方法で、体を壊す方が散見された」

 残業や給与に関する不満指摘も多かった。

「ワークライフバランスは皆無。休日も接待という名の業務があるが、それは仕事ではないとの認識」

「働きがいはない。退職者続出。給料は精神的負担と仕事の多さを考えると見合わない」

「お客さんの仕事が終わってからのアポイントになるので、残業は当たり前。残業代はみなし残業だけで、それを超えた分は出ない」

 さらに年功序列などの組織面や社風に関する不満も目立った。

「年功序列の縦社会。上司の言うことは基本的に是。出る杭は打たれる文化」

「上の人たちの考えが生きる化石、時代錯誤」

「この会社で働くには洗脳されていないと厳しい」

3位は三井住友海上火災経営陣への不満投稿が多数

 3位は三井住友海上火災保険で、投稿件数は24件。

 まず目立つのは、残業の多さに関する不満だ。

「社内が消灯する19時が定時のイメージ。帰宅後も勤怠ログの付かない自宅のパソコンを使用して仕事する社員が多数いる。総合職は朝7時台に来ている社員が多数いて、平日は仕事に追われる。管理職になると、土日はゴルフ接待なども多く、プライベートの時間をどのように取っているのか疑問」

「営業社員は午後10時まで働いており、土日や休暇中も社用携帯に電話がかかってくる」

「1人当たりの業務量が多すぎる。土日もパソコンを家に持って帰り、サービス残業せざるを得ない社員が多数」

 また、経営への不満の投稿も多数あった。

「役員のレベルの低さに嫌気が差し、この会社に時間をささげることがもったいなく、少しでも早く次(の会社)にチャレンジする方が良いと感じるようになった」

「管理部門の役員数が多く、報告業務に過分に時間を取られていることが、現場のモチベーション低下につながっている」

「営業や損害サポート部門の若手社員の退職者が続出し、本社部門でも、優秀な中堅社員の退職者が年々増えている。こういった状況を経営層は全く把握しておらず、また、社員の声に耳を傾ける姿勢が全くない」

 そのほか、企業風土に関する不満もあった。

「古き悪(あし)き日本企業文化で、非常に風通しが悪い。コロナ前には『月末飲み』と称し、毎月の最終営業日には課の飲み会への参加を強要させられていた」

『従業員の不満投稿が多い“ブラック”企業ランキング2023上半期【トップ20・完全版】』では、4位以下のランキング、および、全20社についてのネガティブ投稿の内容も掲載している。そちらもぜひ、ご覧いただきたい。

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