新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光需要を喚起するため、政府が実施する「Go To キャンペーン」がネット上で話題になっている。赤羽一嘉国土交通相は6月21日放送の「日曜討論」(NHK)で、早ければ8月上旬から開始し、来年春にわたり実施する意向を示した。
同キャンペーンは、観光、飲食、興行、商店街をそれぞれターゲットにした「Go To Travel」「~Eat」「~Event」「~商店街」の4事業で計画。赤羽国土交通省が言及したのは、このうちの「Go To Travelキャンペーン」で、期間中に旅行商品を購入した場合に代金の二分の一を補助するものだ。
「平常時に人で溢れかえってた京都は地獄と化すのか?」
観光庁によると、キャンペーンの対象は、国内旅行のみ。一泊あたり2万円を上限に、旅行・宿泊代金の半額相当を割引と地域共通クーポン券による還元で補助する。例えば、一人で一泊2万円の旅行をする場合は、自己負担額が1万円、残りの7000円程度を割引、3000円程度はクーポン券で還元されるという。
こうした政府の支援策に対し、ネット上では賛否が分かれている。中でも、多かったのは「コロナは終息したわけじゃない」など時期が早すぎるという意見だ。
都内では6月22日、29人の新規感染者を確認。前日までは4日連続で30人超が続いていた。比較的感染リスクの高い、人口密集地である首都圏在住の人々が各地に旅行に訪れることは、現時点で感染が抑えられている地域にもウイルスを広げる恐れがある。
2ちゃんねる開設者の”ひろゆき”こと西村博之氏も21日、自身のツイッターで
「旅行推奨するなら高校野球も開催したら?推奨する事と禁止する事の基準が不明確すぎる」
と指摘。統制の取れていないチグハグな対応に、嫌気が刺しているようだ。
ネット上ではこのほか、「平常時に人で溢れかえってた京都は地獄と化すのか?」「どこも混みそうだな。まったり旅したい」などと利用者急増に伴う混雑を心配する声もあった。
第2波が来たらキャンペーンはどうなる?
一方、”半額バック”の踊り文句に心を躍らせ、夏休みの旅行計画に思いを巡らせる人も相次いでいる。
「Go To キャンペーンでどこか行きたいー、北海道か沖縄かなあ」
「九州行くのもありだな。2泊3日だといくらぐらいだろ」
北海道、沖縄のほか、京都、奈良など鉄板の観光地を挙げる声が大きい。長かった自粛生活が明け、徐々に平時に戻り始めているタイミングなだけに、旅行にでも行ってリフレッシュしたいと考えている人が多そうだ。
他方で「Go To キャンペーンが原因で第二波来たらやっぱやめますってなるのかな」という見方をする人も。また、最前線で感染者の治療に尽力している医療従事者を引き合いに出し、
「医療従事者はこのキャンペーンを使って旅行に行くことはないままコロナは落ち着かず、医療従事者の職場からの自粛言い渡し期間は伸び――ていう未来が見える」
と実際に旅行ができる対象者は限られるとする見方もあった。表向きには観光復興を掲げているとは言え、多くの国民にしてみれば「このご時世行けるのかどうかなんて本当に人によるんだから、Go Toキャンペーンの予算はそのまま現金給付にまわしてほしい」というのが本音かもしれない。