日銀の青森、仙台、秋田、福島各支店は、今年の東北の主な夏祭りの人出をまとめた。前年と比較できる14の祭り全てが増加。新型コロナウイルスの5類移行で4年ぶりに通常開催となった祭りが多く、首都圏などからの旅行客やインバウンド(訪日客)が全体を底上げした。ただ、大半の祭りはコロナ前の2019年の水準には達しておらず、人出の回復は途上にある。
インバウンドが底上げ、コロナ禍から回復途上
公表を取りやめた秋田県大仙市の全国花火競技大会(大曲の花火)を除く15の祭りの人出は表の通り。青森ねぶた祭の集計方法の変更もあったため、東北の合計の集計は見送った。
仙台七夕は4年ぶりの通常開催となり、コロナ前と前年をわずかに上回った。盛岡さんさ踊りは、開催地の盛岡市が米ニューヨーク・タイムズ紙の「23年に行くべき52カ所」に選ばれた効果もあり、欧米からの訪日客が多く見られ、前年比2・1倍と大幅に増えた。
人手不足でサービスを切り替える動きも
日銀仙台支店によると、熱中症警戒アラートが出され、日中に地元客の人出が鈍った祭りもあったが、県外客は夜間を中心にコロナ前を大幅に上回る傾向だった。訪日客は台湾やタイなどアジア圏が多かった。
夏祭り関連ビジネスの動向に関し、物販、飲食、宿泊事業者らに聞き取りを実施。売り上げがコロナ前水準に回復した事業者が多かった。祭り期間中に満室になった宿泊施設が目立つ一方、人手不足によって派遣社員を活用したり、食事をバイキング形式に切り替えたりする動きもあった。
調査は各支店が夏祭りの運営本部や旅行代理店、旅館などにヒアリングした。