仙台圏の身近な自然スポットの一つ、仙台市泉区の泉ケ岳(1175メートル)中腹でレジャーエリア「泉ピークベース」の開発が進んでいる。キャンプ場にコテージ、温泉施設を備えた一大施設。新型コロナウイルス禍で人気が高まるアウトドアや、余暇と仕事を兼ねた「ワーケーション」のニーズにも対応すべく、今夏のオープンを目指す。(報道部・土屋聡史)
オート25区画、フリーサイトも
東京の中堅ゼネコン「日本国土開発」が、泉ケ岳スキー場南東にある自社所有地を開発した。エリアは約10ヘクタールと広大で、最大500人を収容できる。
キャンプ場は、車の乗り入れ可能なオートキャンプ用サイトが25区画(1区画約100平方メートル)がある。加えて自由にテントを張って宿泊できるフリーサイトもあり、約90張りが設営できる。
宮城県産木材を多用したコテージは、6人宿泊可能な1棟(54平方メートル)と4人までの3棟(41平方メートル)を整備。いずれも南面がガラス張りで、天気がいいと仙台平野や太平洋を一望できる。
スノーピークと連携
平日は企業などの法人利用を、休日は一般の利用を想定。法人営業はアウトドア大手「スノーピーク」(新潟県)のグループ会社と連携する。自然の中で社員研修などを行う利点をアピールする計画で、温泉施設が完成する夏以降、予約の受け付けを始める。
日本国土開発は11~15日、自社の新入社員研修に施設を活用している。同期50人と屋外で議論した市川大貴さん(22)は「オフィスのような圧迫感がなく、いいアイデアが出そう。壁が取り払われ、人間関係や議論の風通しも良くなる気がする」と語った。
同社戦略部の中西康仁担当課長(42)は「仙台市中心部から車で1時間の立地に、静かで眺めも素晴らしい環境を用意できた。夏の開場までに、使いやすさなどをさらに追求したい」と話した。
「第三の場」の魅力、記者も体験
心地よい春風がコテージにそよぐ。周囲の森からはウグイスのさえずり。視線を外にやると、遠くに仙台のビル街がかすむ-。余暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」を記者も初体験した。
場所は泉ケ岳中腹に今夏完成するレジャーエリア「泉ピークベース」。事業主の日本国土開発が12日、施設を報道陣に公開したのに合わせコテージを数時間、記事の執筆場所として利用させてもらった。
仙台の街中にある職場との違いに、ただただ驚いた。雑音など無駄な刺激がないためか、集中力が高まっているのが分かる。インターネット環境が完備されており、写真や原稿の送受信などはストレスフリー。仕事に支障は何らなかった。
コロナの感染拡大防止に在宅ワークが推奨されてきた陰で、家庭に仕事を持ち込む「職住一体」の難しさを指摘する声もある。職場でも自宅でもない「サードプレイス(第三の場)」の魅力に触れ、ワーケーションの可能性を体感した。
実際この記事もコテージで書いた。疲れを感じれば、ウッドデッキで深呼吸。大きな景色を前にすると、直面する悩みが小さく思え、乗り越えられそうな気になるから不思議だ。
自然の癒やしと第三の場の力を、もっと気軽に取り入れていきたいと思った。