資産1億円以上のお金持ち女性に学ぶ「稼ぐ人に突出している2つの能力」とは

お金持ち女子を分類すると主に「節約家タイプ」「投資家タイプ」「高収入タイプ」があるが、この中でもっとも早く資産1億円を到達できるのが「高収入タイプ」。どんな方法で高収入を手に入れているのか。高収入層からの相談も多いファイナンシャルプランナーの藤川太さんに聞いた。

■年収1000万円で30年後には5億4000万円を達成

「高収入タイプ」は最も早く資産1億円を達成できる可能性がある。藤川さんはこの「高収入タイプ」をさらに2つのパターンに分けて資産のシミュレーションをしている(図表1、2)。

たとえば年収3000万円があれば、年間300万円(貯蓄率10%)のお金を貯めるのは難しくないだろう。運用率が1%でも10年後に資産額は3170万円、20年後に6672万円、30年後には1億540万円に達する。節約や運用に関心がなくても、1億円達成は難しくない。年収1000万円でも節約上手で貯蓄率を30%にできれば、同じ結果だ。

節約も運用も頑張れば、さらに達成は早くなる。年収1000万円で貯蓄率30%、運用率10%とすると10年後には資産5259万円、15年後には1億円を突破できる。20年後には1億8901万円、30年後には5億4283万円に上る。

これはあくまで机上の空論だし夢のような金額だが、高収入を獲得すれば難しい数字ではないし、実際に同レベルの資産を築いた人はいる。では、「高収入タイプ」のお金持ちにはどんな特徴があるのか。

■高収入を獲得できる職業とは

まず、高収入タイプにはどんな職業が多いかを見てみよう。典型的なのは医師、弁護士、会計士などの難関資格を持つ専門職だ。中でも医師にはお金持ちが多い。開業医の場合は繁盛しているかどうかで収入は大きく変わるが、1000万円以上は当たり前で1億円を超えることもある。

勤務医の場合、所属病院から受け取る報酬はそれほどでもないが、ほかの病院で非常勤として働いたり、講演などをしていることが多く、合計するとそこそこの収入になる。

医師に比べると弁護士や会計士には、お金持ちはそれほど多くない。とはいえ、会社員よりも収入は高い。

「どこの業界でも職場恋愛から結婚に発展することは多いですから、難関資格保有者同士が結婚して共働きを続ければ、あっという間にお金持ちになります」(藤川さん)。

外資系企業に勤める専門職にも高収入タイプは多い。たとえば、外資系金融機関のファンドマネジャー、アナリストあるいは外資系コンサルタントなどは相当な高収入だ。ある程度の実績をあげれば、数千万円の報酬が得られるし1億円超えの人もいる。

世界最大手の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパンは「日本総報酬サーベイ」(2019年版)を公表した(図表3)。それによると、2019年時点の課長クラスの年収は日本企業で932万円であるのに対し、外資系企業では1207万円で275万円の開きがある。また、15年と比較してみると、外資系企業のほうが伸び率も高い傾向にある。外資系企業へ転職するのもお金持ちに近づく一つの手だ。

外資系企業の場合、事業縮小となれば簡単に解雇されてしまうリスクがあるが、優秀な社員は辞めても他の会社で働くことができる。

■起業を目指すなら副業で足腰を鍛える

オーナー経営者にも高収入タイプが多い。以前なら、難関大学を卒業して大企業に入社したような人たちが、最近では就職せずにそのまま起業するケースも多くなっている。

もちろん、起業で成功するのはほんのひと握りだ。創業後に10年続く会社は1割と言われるように、ほとんどが失敗すると言っていい。生き残った1割でさえ、すべてが成功組ではない。

つまり、オーナー経営者として高収入を得るのはハイリスク・ハイリターンとなる。そう考えると、難関大学出身者の場合は、起業する魅力は少ない。いい企業に就職すれば経営陣に加わることができなくても、そこそこ出世すれば人並み以上の高い収入が得られる可能性が高いからだ。

一方で出世ラインに乗りにくい人は一発逆転できる可能性がある起業という選択肢は、魅力が大きい。

起業で高収入を目指すなら、焦りは禁物。長期計画でチャレンジしたい。会社勤めをしながら副業で小さく試しながら、お金をためて足腰を鍛えていくのがいい。

■寝る間も惜しんで打ち込めるものを

何で起業するかも重要。人のマネできないビジネスでなければ成功は難しい。他の人にはできないことで自分にできることは何かを見極める。寝る間も惜しんで打ち込めるほど好きなものなら、他の人には追い付けないだろう。そうやって自分の得意の分野でマーケットを絞っていく。インターネットのおかげで、マイナーであっても競争相手の少ない市場を見つけることができれば、そこそこ稼ぐことができる時代になった。

「とある国のレコードが好きな人が現地で買い付けて国内で販売するビジネスを始めました。それだけで年収1000万円以上は稼いでいたようです」(藤川さん)

ここまでは、お金持ちになりやすい職業を見てきたが、同じ職業でも収入は大きく異なる。より多くの収入を獲得している人には、ある能力が突出しているという。

■高収入な人に突出している2つの能力

ある能力とは何か。

「どんな業界でもマーケティング力や営業力の高い人が成功しています」(藤川さん)

前述のように医師や弁護士、税理士といった専門職は高収入の代名詞的な職業だったが、有資格者が多くなると猛勉強して資格を取得しても、仕事が得られない人が出てくる。

専門的な能力はもちろん必要だが、それはスタートラインに立っただけのこと。その後は、自分がどの領域で勝負するかが重要だ。

たとえば、同じ医師でも小児科や産婦人科は重労働の割に稼げないと言われる一方で、美容整形やレーシックなど、自費でも治療を受けたい人が多い分野は、高収入が得られる確率が高い。

「さらに、どう顧客をつかむかも重要です」(藤川さん)

“いい商品やサービスを提供していれば、いずれわかってもらえる”と考えるのは問題。どんなにいいものを提供しても、顧客になってくれる人に伝わらなければ、何も提供していないのと同じだからだ。

「起業で高収入をつかんだ人たちは、開業するときにホームページをつくって検索されやすいような工夫をしたり、広告を出すなどお金を捨てる覚悟を決めて積極的なアピールをしています」(藤川さん)

■組織をつくり、仲間の力を借りる

また高収入タイプには、一人ではなく組織をつくって働いている人が多い。どんなに優秀な人でも、一人でできる仕事量には限界がある。だから、多くの業界で自分の仕事の処理能力が収入の限界を決めてしまう。収入を増やそうと思えば、労働時間を長くするしかない。高収入タイプは他の人の能力や時間を使って、この限界を乗り越えていく。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/alvarez)

「他の人の力を借りるには、高いコミュニケーション能力が必要になります。ただ、高収入タイプの人にもコミュニケーションが苦手な人もいる。そうした人はコミュニケーション能力が高いパートナーと一緒に働いて、自分が不得意な分野をうまく補完していますね」(藤川さん)

高収入タイプには日常生活にも特徴がある。

■高収入タイプはブランド品の代わりに不動産を買う

オーナー経営者の高収入タイプは、堅実な生活をしている人が多いという。お金持ちは高級車に乗り、ブランド品で身を包む生活も可能だ。しかし、そうした生活はしていない。

「いい家に住んでいることは多いですが、派手な生活にはあまり興味がないですね」(藤川さん)

では、稼いだお金は何に使っているのか。高収入タイプには投資好きが多い。株式や債券への投資はもちろん、不動産投資をする人も多い。ブランド品を買うのと同じ感覚で賃貸用の不動産を購入する。

高収入タイプは投資による失敗をあまり恐れない。仮に損をしてもすぐに高収入がカバーしてくれるからだ。一方、投資で利益が出ればさらに収入は上がる。

高収入タイプにはチャレンジャーが多いわけだが、引き返せないところまでは粘らない。リスクの取り方が上手なのだ。

「私自身も起業する際には、3年の期限を区切ってチャレンジしました。3年でダメなら会社を閉じてやり直そうと考えていました」(藤川さん)

期限を区切るからこそ、大きな失敗を避けられたし、3年間はがむしゃらに頑張ることができたという。

■自己投資を惜しまず、収入アップの好循環を獲得する

これから高収入タイプのお金持ちを目指そうとする人に参考になるのは、自己投資に対する姿勢だ。高収入タイプは自分の成長に投資をする人が多い。自分が成長すれば収入がアップし、収入が上がればさらに自己投資ができる。いい循環ができている。

自己投資というと資格取得を思い浮かべるかもしれないが、資格マニアにお金持ちはほとんどいない。資格取得で儲かるのは認可する団体や関係者のほうだろう。

資格を取得するなら、お金を生み出す資格かどうか、本当に必要なのかどうかをしっかり見極める必要がある。たとえば、会社員で資格を取得すると手当がつく場合がある。その資格は業務上も重要であるということだから、その後の仕事のポジションにも有利に働く。こうした資格の取得は有効だ。

高額な自己啓発セミナーも要注意だ。

「以前、自己啓発の分野で有名な人のセミナーに参加したことがあります。年に何回も高額な費用を支払い、十年以上参加している人が多くいました」(藤川さん)

このような人はセミナーに参加することで満足し、主催者の養分になるだけだ。高収入を獲得するには明確な目標を持って、戦略的に自分のキャリア形成をしていく必要がある。

(ライター 向山 勇 写真=iStock.com)

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