全国で最少人口の自治体、東京都青ケ島村の有志が島に留学する中学生を募集する。期間は来年4月から1年間。ホームステイ先から村立青ケ島中に通う。悪天候で船便の欠航が半月続くこともある孤島の暮らしを体験し、自然の中で学びながらたくましさを育む。
住民166人
青ケ島は八丈島の南約70キロにある火山島で、6月1日現在の住民は166人。留学生を募集し里親となるのは青ケ島製塩事業所社長の山田アリサさん(60)。島を洗う黒潮を地熱蒸気で温めて作る「ひんぎゃの塩」を全国に出荷する。
留学は昨年から実施。本年度の生徒数がゼロの見通しとなった青ケ島中を休校にしないため、山田さんが個人的に呼びかけた。現在、山田さん宅に下宿する2人と、家族と移住した1人の計3人が通学。来年度の生徒数は多くても1人の見込みで今年も留学生を募る。
下宿の居室は個室。スポーツクラブやイベントに参加したり、畑仕事や釣りをしたりして島の生活や文化に親しむ。家賃は無料。食費など1カ月分の経費を前月に集める。制服は現在使っている服で構わない。
人口減の未来考える
募集人数は1~3人で締め切りは7月10日。ウェブ面接を経て対面面接で決める。連絡先は青ケ島製塩04996(9)0241か同社ホームページ。
山田さんの塩作りは公共事業に依存する小規模自治体に産業を興す事例として、人口減に適応した暮らしを探る河北新報社の連載「適少社会」(2016年1~6月)が取り上げた。
山田さんは「最も進んだ過疎の形が島にはある。未来へ地域をどうつなげるか。東北にも共通する課題を島の暮らしの中で子どもと一緒に考えたい。送り出す保護者にも必ず発見があるはず」と話した。