映画「翔んで埼玉」が公開され、何かと話題になっている埼玉県。そんな県の意外な「特産品」がネット上で注目を集めています。食パンの袋についている白や水色の留め具「バッグ・クロージャー」です。年間30億個を川口市の工場で作っているという会社に話を聞きました。
1952年に誕生
バッグ・クロージャーが誕生したのは1952年。
アメリカで包装機械事業を営んでいたフロイド・パクストン氏が、「りんごを袋詰めしたあとに袋の口を簡単に閉じる方法はないか?」と依頼され、飛行機の中で原型を考案しました。
日本では食パンの留め具というイメージが強いですが、アメリカでは今でも野菜や果物の包装に使われることが多いといいます。
国内製造は川口だけ
国内で唯一バッグ・クロージャーを製造しているのは、埼玉県川口市にあるクイック・ロック・ジャパンです。
すべてのバッグ・クロージャーは本社にある第一工場と隣にある第二工場で製造しており、その数は年間約30億個にも上ります。
国内での用途は食パン向けがメイン。昨年度は約14億円を売り上げたクイック・ロック・ジャパンですが、そのほとんどが製パン会社関連です。
メイン商品については立体商標も取得。機械とセットで販売する点や、クロージャーの素材や形状など独自のノウハウがあることから、同じような新規参入はないそうです。
ツイッターで話題に
そんなバッグ・クロージャーが先日、ツイッター上で注目を集めました。
埼玉の「特産物」として紹介されると、「県民だが知らなかった」「埼玉県のおかげでパンに封ができるのか」といったコメントが寄せられました。
特産品として話題になったことについて、広報担当の鈴木敦さんはこう話します。
「普段脇役のクロージャーですが、このようなかたちで消費者の方々の間で話題になり、とても驚いております。これからも様々な分野でご使用いただき、消費者の皆様の目に届くように精進したいと思います」
おまけ
食パンなどに使われる最もポピュラーなバッグ・クロージャー「J−NRP」は、立体商標も取得しているそうです。
色は全部で7色で、製パン会社の依頼に応じて納入しています。また、この商品だけでも穴の部分の形状が9種類もあります。
リンゴのように見えるものや、ディズニーのキャラクターのシルエットのように見えるもの、ハートや×のかたちをしたものもあります。
その理由について、鈴木さんは「袋の厚みや幅に応じて、しっかり留めることができようにラインナップしています」と話します。
また、J−NRPは外側も左右非対称で、突起やへこみもあります。それは何のためなのでしょうか?
「製造ラインのことを考慮した結果です。結束の前にロールが切れてはいけないし、結束時にはスムーズに切れないといけない。いかに効率よく、なめらかに作業できるかを考えた結果が、あの突起やへこみなんです」