都市部のマンション価格が高騰を続けている。不動産経済研究所が26日発表した2022年の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の新築マンション発売価格は前年比0・4%上昇の平均6288万円で、2年連続で過去最高を更新した。都心部では中古物件が1億円に迫り、一般消費者には高根の花となっている。 【図表】住宅ローン金利、「固定型」は上昇傾向
完売
東京五輪の選手村を改修した大規模マンション「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」。約5000万~1億円超の物件が予想を上回る人気ぶりを見せ、22年は約1200戸がほぼ完売した。倍率が100倍を超える部屋も出るほどで、三井不動産の担当者は「部屋の広さと海に囲まれた眺望が決め手になっている」と話す。
22年に首都圏で発売された新築マンション2万9569戸のうち、2491戸が「億ション」。最高は11億5800万円だった。東京23区に限った平均価格は8236万円で、2年連続で8000万円超えだ。コロナ禍前の19年(7286万円)を約1000万円上回る。
都市部ではマンションに適した土地が減っており、不動産会社は確実な売却が見込まれる好立地に絞った開発を進める傾向にある。このため、近年はそもそも売り出し価格が高まっていた。これに加え、足元では資材費や人件費の上昇も重なり、高騰が続いている。
テレワークが一定程度定着し、郊外物件の人気も高い。埼玉県は9・7%上昇の5267万円、神奈川県は2・7%高い5411万円、千葉県は6・7%上昇の4603万円だった。
実需
バブル期と異なるのは購入の大半を実需が占めている点だ。高価格マンションの買い手は「パワーカップル」と呼ばれる共働き世帯が中心。「多少無理してでもほしいというマインドが続いている」(同研究所の松田忠司上席主任研究員)という。信用力がある夫婦が2人でローンを組む「ペアローン」は借り入れ可能額が大きくなり、価格高騰にも対応しやすい。
中古マンション市況も過熱気味だ。不動産調査会社「東京カンテイ」によると都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の22年の中古マンション価格(70平方メートル換算)は平均約9800万円と1億円に迫った。
ただ価格上昇が今後も続くかは見通せない。昨年12月の日本銀行の金融政策修正後、大手銀行などは相次いで固定型の住宅ローン金利を引き上げており、購入意欲の減退につながる可能性もある。