4病院再編構想 宮城県知事に5会派が4度申し入れ 姿勢や要望には温度差

県が主導する仙台医療圏4病院の再編構想で、県議会9月定例会の会期中、村井嘉浩知事に宛てて5会派が計4度の申し入れをした。構想の進め方を良しとしない点は共通するが、構想自体の是非に対する姿勢や注文を付けるポイントに違いがある。県議選(13日告示、22日投開票)を見据え、各会派は有権者の視線を意識したようだ。

与党3会派、不信感を明言も項目は軟調 

 口火を切ったのは最大会派の自民党・県民会議。9月26日、患者や家族からの意見聴取、県精神保健福祉審議会への丁寧な説明など4項目を申し入れた。

 会派内に村井知事への不満は多く、提出に先立つ会派総会では、8月31日の審議会で村井知事が「止められるのは県議会だけ」と述べたことを受け、「止めてやればいい」と気炎を吐く議員まで現れたという。

 ただ実際の申し入れは、前文で「知事に対する不信感」に触れたが、項目自体は「非常にマイルド」(ベテラン)。会派幹部は「これ以上やると(再編構想の新病院予定地の)富谷や名取の議員が困る。これがギリギリだった」と話す。

 自民会派と、同じく知事与党を自任する公明党県議団、21世紀クラブの計3会派は9月29日、要望書を提出。自民党の申し入れをほぼ踏襲したが、仙台市との情報交換に関する項目で「仙台市立病院との連携強化」の文言が削られた。

 公明党県議団は「行政同士の意見統一が必要で、いきなり市立病院を持ち出すのはどうかと思い、削除を求めた」と明かした。21世紀クラブは「市との連携は(自民の申し入れ内容から)さらに踏み込んでも良かった」と振り返った。

みやぎ県民の声は福祉の視点欠如を指摘 共産県議団は構想撤回求める

 第2会派「みやぎ県民の声」も29日に要請書を出し、当事者らの声を踏まえた丁寧な議論と仙台市との徹底協議を求めた。先行会派にない文言として、再編構想に「福祉や介護の視点が欠けている」と指摘した。

 会派幹部は「患者の生活を支えているのは福祉などの分野であり、その価値を低く見積もってはならない」と強調。構想の賛否に踏み込まなかった点を「『まず反対と言え』との声は支持者の中にもあるが、仙台だけ良ければいいというわけでもない」と語った。

 最後に動いたのが共産党県議団。自民など与党会派までもが知事に苦言を呈したことを評価しつつ「(他会派が)反対と明示しないことを知事に逆手に取られる恐れがある」ことを危惧し、2日に構想撤回を求める申し入れを行った。

 ある会派で申し入れの取りまとめに関わった議員は「この先は各議員が各選挙区で説明することになる。要請書で現時点の立ち位置が分かるので、有権者が投票先を選ぶ参考になるのではないか」と期待した。

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