〈「僕はジャニーさんに5万円の領収書を書かされた」ジャニーズ性加害に“実名・顔出し”で新証言〉 から続く 【写真】若かりし頃のジャニー氏 創業者ジャニー喜多川氏の性加害問題に揺れるジャニーズ事務所のトップで、ジャニー氏の姪にあたる、藤島ジュリー景子代表取締役社長(57)が退任することが「 週刊文春 」の取材でわかった。 ジュリー氏は、ジャニー氏の実姉で創業時から事務所の経営面を担ったメリー喜多川副社長の長女。ジュリー氏はメリー氏の教育方針で、都内のインターナショナルスクールからスイスのセレブリティの子弟が集まる寄宿学校に進み、帰国後は上智大学に入学。その後数年間のフジテレビ勤務ののちに、“家業”であるジャニーズ事務所での仕事を始めた。 1998年に事務所の取締役に就任。TOKIOや嵐といった人気グループを育て、2019年のジャニー氏死去後、その後を継いで代表取締役社長に就任した。 順風満帆に見えたジャニーズ事務所に激震が走ったのが今年3月。英国公共放送BBCがジャニー氏のジャニーズJr.に対する性加害問題を正面から扱ったドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」を放送。4月初めには元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が「週刊文春」誌上で実名、顔出しで被害を告白し、その翌週に日本外国特派員協会で記者会見を開くと、これまでこの問題を報じてこなかった新聞、テレビの主要メディアが一転、大きく報じるようになった。
5月には頭を下げる姿を動画で公開
これを受けてジャニーズ事務所は4月21日に取引先企業に〈問題がなかったなどと考えているわけではございません〉といった、ジュリー氏のコメントが載った文書を送付。だが、当初、この文書ではジュリー氏の進退についても触れる可能性があったという。 「4月17日時点の案では、自ら社長を退いて外部から社長を招くという文言もありました。これらは社員や弁護士の意見を聞く中で削られたのです」(事務所関係者) 世間から大きな注目を浴びているにもかかわらず取引先企業だけを向いた対応に、批判はさらに高まった。そこで、ジュリー氏は苦渋の決断を下す。5月14日に自らが頭を下げる姿を収めた動画を事務所の公式サイトで公開したのだ。
「ジュリー氏は精神的にかなり追い詰められていて…」
「表に出るのを極端に嫌うジュリー氏が自らの姿を世間に晒すことは、彼女をよく知るジャニーズやエンタメ業界の人間にとっては衝撃でした。ただ、一般の感覚からすれば、トップが記者会見の場を設けず、一方的に発信することは弁明としては不十分だと捉えられた。しかも、文春がジャニー氏のキャンペーン記事を展開していた1999年当時にはすでに取締役だったにもかかわらず、性加害問題を『知りませんでした』と説明したのですから」(スポーツ紙記者) その後、ジャニーズ事務所は社外取締役の招聘や心のケア窓口の設置、性加害問題を調査する「再発防止特別チーム」(座長・林真琴前検事総長)を設置するなどの施策を行った。 その再発防止特別チームは8月29日の記者会見で、ジャニーズ事務所のガバナンス体制の不備を指摘した。ジャニーズ事務所は同チームの提言を受けて近日中にも記者会見を開く予定だが、トップであるジュリー氏は出席しない見込みだという。 「ジュリー氏は精神的にかなり追い詰められていて、人前に出られるような状態ではない。再発防止特別チームの提言を受けた流れで、社長を退任すると聞いています」(別のジャニーズ事務所関係者) ジャニーズ事務所に、ジュリー氏の退任、そして記者会見への出席の有無を問い合わせたが、締め切りまでに回答はなかった。 創業以来、60年あまり続いたファミリービジネスは、今終わろうとしている。
「週刊文春」編集部/週刊文春