《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」

「捕まらないでしょ。捕まるなら逮捕状持ってきてる」──4月16日、公職選挙法違反の罪に問われている自民党・柿沢未途衆議院議員(53)の辞職を受けて始まった東京15区・衆議院補欠選挙。この補選で自民党は候補者を出さず、野党や無所属など候補者9人の争いとなった。

 警視庁は5月13日、黒川敦彦代表(45)率いる政治団体「つばさの党」に公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いがあるとして団体の事務所などに一斉に家宅捜索に入った。全国紙記者が解説する。

「補選で『つばさの党』の代表らが拡声機などを使ってほかの陣営の演説が聞き取れないようにしたり、選挙カーを追い回したりして選挙活動を妨害した疑いがあるとして、捜査2課が家宅捜索に踏み切りました。捜索は黒川代表のほか、同補選に立候補した根本良輔幹事長(29)それぞれの自宅と事務所の3ヶ所で行われ、機動隊も出動しました」

「5股不倫」ヤジに小池百合子氏に「暴言」

「つばさの党」のこうした行為は今に始まったことではない。2022年に行われた参議院選挙では米国大使館の前で「CIA音頭」と称したオリジナルの歌を抗議活動の一環で披露。動画配信でこの様子が全国に拡散され、SNS上では「これは選挙活動と言えるのか」「警察はなにをやっているんだ」などの声が上がり、物議を醸していた。前出の全国紙記者がさらに続ける。

「4月16日の選挙告示日、補選に無所属で立候補した乙武洋匡氏(48)の演説に、根本氏が支援者を引き連れて現れました。根本氏は乙武氏の選挙カーの前にある電話ボックスの上に座り込み『5股不倫』『説明しろ』などと拡声器を使って大音量で演説。これを受けて18日、同党は警視庁から公選法違反の疑いで警告を発出されています。しかし妨害行為は、ほかの陣営の街頭演説でも行われました。さらに、選挙後も乙武氏を支援していた小池百合子氏(71)に対してデモを行い、ゴールデンウィーク最終日の6日には80人ほどを引き連れ『百合子ファーック!』などと叫びながら街宣を行うなどし、警察も手を焼いていたところだった」

 乙武氏は今回の家宅捜索を受けて、X(旧ツイッター)を更新し、「悪質極まりない一連の行為は、有権者の『演説を聞く権利』を明らかに侵害していました」と投稿。

「捜査関係者によると、選挙期間中に『つばさの党』が出した負傷者の数は合計で6人と言われています。また、選挙中には乙武陣営のスタッフが引き倒されるアクシデントも発生しました」

「逮捕したくてもできるはずがない」

「つばさの党」の目的はいったい何なのか。彼らを長期間取材している選挙ウォッチャー・ちだい氏はこう語る。

「街宣とかデモとかそれ自体をやることが目的です。選挙に勝つことより、目立つことで主張を聞いてもらいたい。彼らは基本的には活動家なんです。『オリーブの木』(2020年までの党名)時代も含め神奈川・座間市とか千葉・野田市とかに公認候補を出して当選させたことはありますがいずれも離党し、現在残っているのは朝霞市議だけ。かつてのN国党は落選しているとはいえ地方選に積極的だったが、『つばさの党』は選挙に興味はなく、代わりにデモの数がやたら増えました。

 一連の活動は黒川氏がやっていた『みちばた興業』にルーツがあります。“なんだってできるのさ、ピープルパワーで”というキャッチフレーズで、辺野古基地の前で『ええじゃないか』を歌うなどの活動をしていました。。それがN国党に参加したことによって過激化した形です」

 今回の選挙中も「つばさの党」に取材を試みていたちだい氏。黒川代表や根本氏から、選挙妨害や逮捕について直接話を聞いていた。

「彼らは『逮捕したくても逮捕できるはずがない』という前提に立ち『相手を妨害しているのではなく、我々は我々で演説をしているに過ぎない』という見方をしている。確かにほかの政治団体でもお互いに近い距離で演説をすることになってしまうことはあるだろうが、今回の場合は意図的なものだし明らかに異なるケース。普通の党なら「これは妨害になる」と判断するところだが、彼らは独自の解釈のもと問題ないと判断している。

 もともと活動家としての覚悟なのか『逮捕されるのは怖くない』みたいなことは口にしていましたね。もちろん逮捕はされたくないと思いますが……。家宅捜索は受けましたが、そこまでまずいと思っていないようで、『捕まらないでしょ。捕まるなら逮捕状持ってきてるから、ただの嫌がらせ。マスコミ呼んでの印象操作』などと話している」

 黒川代表はメディアの囲み取材で一連の行為について「我々は表現の自由の中で、適法なことをやっていると理解している。別に暴力をふるっているわけではなく、持っている権利を行使している。私たちがやっていることは、言論の行為で、多少、乱暴だという認識はあるが、権力者が言論行為をとめることは絶対にあってはならないことだ」と話している。

 このまま彼らの“翼”は奪われてしまうのか──。捜査の進展が待たれる。

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