新年度が始まって2週間。各企業では早くも新入社員が問題となっているようだ。就活に詳しく、『就活のバカヤロー』(共著・光文社新書)などの著書のあるライター・石渡嶺司氏は以下のように語る。
「少子化が進み、共同体が崩壊する中で育ってきた彼らには、いろいろな世代とコミュニケーションをとってきた経験が非常に少ない。だから人との距離感がわかっていないんです。くだけた言葉づかいや絵文字づかいも、本人にとっては相手と“親しくなりたい”という意思表示で、悪気はないんですよ」
ただし、悪気がないだけに、かえって扱いに困るのも事実だろう。
いまから30年ほど前、不満を抱えた主婦たちを描いた『くれない族の反乱』というドラマが大ヒットした。彼女たちの言い分は、「夫が優しくしてくれない」「子供がいうことをきいてくれない」と責任転嫁の嵐。いまの新入社員がまさにこの「くれない族」だと指摘するのは、人事育成コンサルティング会社の代表を務める前川孝雄氏だ。
「依存体質で、『教えてくれない』『ほめてくれない』『認めてくれない』など、『○○してくれない』と文句ばかりいう。
ゆとり教育のなかでとても大事に扱われ、すべてお膳立てされたなかで育ってきたことがその背景にあります」
例えば、「やり方を教えてもらっていないので、できません」というのは、新入社員がよくいうセリフのひとつだ。
「朝、簡単な書類整理をするよう新入社員に指示して外出。ところが夕方に戻ってみると、一切手をつけた様子がない。『どうしてやってないの?』と聞くと、悪びれた様子もなく『だって、やり方を教えてくれなかったから』。私が唖然としていると、『この後、予定が入っているので帰ります』といってサッサと退社してしまった」(40代男性・サービス業)
※週刊ポスト2012年4月27日号