「あおり運転」に該当する7つの行為とは?

全日本交通安全協会が挙げる「あおり運転」の該当行為

「あおり運転」という言葉を見たり聞いたりした時、皆さんはどんなシーンを想像しますか? 前走車に対してパッシングをしたり、車間を詰めたりして威圧感を与える、文字通り「煽る」行為を想像する人も少なくないでしょう。

どこで見てる?「あおり運転」に目を光らせる警察

全日本交通安全協会の「交通教本」(免許更新の講習を受ける時などに配布される教本)によると、以下の7つが「あおり運転」に該当するそうです。

1.車間距離保持義務違反(道交法第26条)

車間距離保持義務違反は平成21年から罰則が強化され、違反点数は1→2点、反則金は6000円→9000円(普通車)に上がりました。以前は今ほど、「あおり運転」について問題視されていませんでしたが、適切な車間距離を取らないことで起こる追突事故がより危険視されたことで罰則強化となりました。

あおり運転となる運転の態様は、「前方の自動車に著しく接近し、もっと速く走るよう挑発する」行為のことで、車間を詰めて文字通り「煽る」行為をさします。取り締まりが強化されたこともあり高速道路における違反としては、速度違反やシートベルト非装着、通行帯違反などに続いて例年上位にランクインしています。あおり運転とされる7つの中では最も多い違反となります。

2.急ブレーキ禁止違反(第24条)

急ブレーキは通常、危険を回避するために掛けるブレーキのことで、正当な理由がない急ブレーキは違反行為となります。とくに、後続車に対して威圧感、恐怖感を与える嫌がらせを兼ねた急ブレーキは「あおり運転」に該当します。

3.進路変更禁止違反(第26条2-2)

急な進路変更は大変危険です。ウィンカーを出さずに突然進路変更を行った場合、後続車は急ブレーキや急ハンドルで進路変更を余儀なくされますが、後続車にこのような回避行動をとらせてしまうような行為は「あおり運転」になります。

4.追越しの方法違反(第28条)

追越しとは追い越そうとする車の右車線に移動して、追抜いたあと再び元の車線に戻って、その車の前に出ることですが、右側からではなく「左側から追越しすること」が違反行為となります。

例えば追越し車線を遅い車が走っていて進路を譲ってくれないような場合、左車線(走行車線)から追越しをするのは違反になります。ノロノロ走っている車がどいてくれないから仕方なく左側から追越すのは「追越しの方法違反」になってしまいます。煽っているわけじゃないのに? と、納得いかないと感じる人もいるでしょうけれど、気を付けましょう。

5.減光等義務違反(第52条-2)

これは、「夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する」ことです。つまり、前を行く遅い車が進路を譲ってくれないような場合、ヘッドライトをハイビームにして気づいてもらうような場合も違反となります。「ハイビームを継続」と書いてあるので、軽く2,3回パッシングする程度なら問題なさそうです。

6.警音器使用制限違反(第54条2)

警音器とはクラクションのことです。執拗にクラクションを鳴らして、嫌がらせをしたり、威嚇したりという行為は、もちろん「あおり」でもあり、違反になります。

7.安全運転義務違反(同第70条)/ 初心運転者等保護義務違反(第71条5-4)

あおり運転によくある嫌がらせ行為のことで、車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行うことなどが、これに当たります。とくに、若葉マークを付けた初心者に対しては絶対やってはいけない行為です。

知らずにやってしまいそうな違反は?

 とくに気を付けたいのは、前述7つの違反のうち、1番の「車間距離保持義務違反」と4番の「左側からの追い越し」です。他はいずれもかなり明確な悪意があり、意図的にやる嫌がらせ行為と言えるので良識あるドライバーとは無縁の行為です。

しかし、車間距離については期せずして車間が詰まってしまうこともありますし、先行車が「後ろの車が近づいてきて怖い」「威圧感を感じる」などという理由で通報されるケースがないとは言えません。

また、なかなか進路を譲ってくれない車が追越し車線を走っているような場合、パッシングや接近をするとあおり運転となるので、静かに左側から追越して行く車も高速道路上で、実際よく見かけます。

進路を譲らない車が悪いのは確かですが、左側からの追い越しも「あおり運転」として取り締まりの対象になる場合があるので要注意です。

対象車の前に出て進路を塞ぐような嫌がらせ行為も煽りでは?

 前述した7つの運転態様の他に、あおりの標的となった車の前に出てわざとゆっくり走ることを繰り返し、(標的となった車が車線を移動すれば、それに合わせて同じく移動して進路妨害を続けるなど)最終的に本線上に車を停めさせる行為は、悪質なあおり行為になりますが、これら7つの中には入っていません。そこで、違反者講習の講師に聞いてみました。

――進路を塞いで嫌がらせをする行為はあおり運転とはならないのでしょうか?

対象車の前に出て進路を妨害したり、本線上に停めさせたりする行為に至るまでに、必ずここに挙げられる7つのなかのあおり行為をしているはずです。その意味もあり進路妨害に関する運転態様はこの7つの中に入っていません。(神奈川県運転免許センター違反者講習講師)

ちなみにあおり運転と認められる場合は、累積点数がなくても「危険性帯有者」として一発免停になることもあります。煽るつもりはなくても、ついやってしまいがちな運転もありますので、お気をつけください。

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