「下流老人」「老後破産」…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。老後に必要なお金、貯められていますか? 『国勢調査』(総務省統計局)より、日本のリアルな現状を見ていきます。
日本の人口減少、「お一人様」の数は右肩上がり
『国勢調査』(総務省統計局)では、日本の総人口が1億2,614万6,000人であることが明らかにされています。2008年に人口のピークを迎えて以来、引き続きの減少傾向です。
人口増加数の上位を占めたのは、東京都(53万人)、神奈川(11万人)、埼玉(7万人)。一方で減少数が大きな地域は、北海道(−15万人)、新潟(−10万人)、福島(−8万人)となりました。
人口減少が著しい一方、核家族化が進み、世帯数は増加傾向にあります。具体的に見ていくと、前回の調査から世帯数は238万1,000世帯増加しています(+4.5%)。
そもそも世帯とは、「住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者」を指します。調査時点の1世帯当たりの人員平均は2.21人。3人以上の世帯は前回調査より軒並み減少している一方、単独世帯、つまり「お一人様」の数は右肩上がりで増加する結果となりました。
割合としては、「単独世帯」が38.1%、「夫婦のみの世帯」が20.1%、「夫婦と子供から成る世帯」が9.0%、「その他の世帯」が7.7%となっています。
ちなみに所得状況について、世帯別に詳しく見ていくと、世帯人数が1人の世帯の平均年間所得は「341万7,000円」、夫婦のみまたは夫婦と未婚の子供のみの世帯は「686万9,000円」となっています。
「単身高齢者の増加」…月の実収入はたった十数万円
単独世帯については、高齢者の増加傾向が顕著です。長寿化に伴い、配偶者に先立たれてしまったケースや、そもそもの婚姻率の低下も関係していると考えられます。実数を見れば、65歳以上人口のうち、単独世帯の人口は671万7,000人。65歳以上人口の「約5人に1人」が一人暮らしとなっている実態があります。
65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の実収入は「13万5,345円」、可処分所得は「12万3,074円」です(家計調査年報/2021年)。そのうち89.0%は社会保障給付が占めており、年金を頼りになんとか暮らしている単身高齢者が多いことが見て取れます。
子供への給付金について度々取り沙汰されますが、高齢者の実生活についても、かなり厳しい現実が露わになっています。『国勢調査』、次回の発表は2026年。そのとき日本はどうなっているのか。明るい未来を描くのは、難しいと言わざるを得ません。