「お客様と社員は対等」広告話題 理不尽な「カスハラ」に悲痛な叫び

近年、ささいなことで理不尽なクレームや過度な要求をするお客様がいます。ドライブレコーダーで確認し、非がないことを伝えても一方的に攻撃されます――。 【写真】「お客様は神様ではありません」。バス会社が出した意見広告の全文を、許可を得て紹介します  ある小さなバス会社の悲痛な叫びが3月中旬、地元紙に意見広告として載った。地元在住とみられるネットユーザーが広告の写真をTwitterに投稿すると、瞬く間に拡散。12万を超える「いいね」がつき、大きな反響を呼んだ。  広告を出したのは、秋田県能代市を拠点に路線バスや観光バス、タクシーを運行する「第一観光バス」。22人の社員が運転手や電話オペレーターなどになり、「地域の足」を担っている。  人手不足が深刻となる中、社長を務める男性(60)は、意見広告内で「社員を守ることも大切」「お客様と社員は対等の立場であるべき」などと訴えた。  ここ数年、社員たちへのカスタマーハラスメントを見てきて、腹にすえかねるものがあったという。  3年ほど前。タクシー降車時に持ち合わせがなかった男性客の家を、社員が訪ねて運賃の後払いをお願いした時のことだ。  「そんなもの払えるか!」。なぜか男性は怒鳴りながら、社員の方に杖を振り回してきたという。結局、乗車賃の回収は諦め、泣き寝入りするしかなかった。  さすがに暴力行為はめったにないが、この男性のように理不尽な怒りをぶつけてくる乗客は後を絶たないという。  ひどいクレームに限っても、年に数件あり、今年も1、2月と立て続けにあった。  「バス運転手ににらみつけられた」  「路線バスに乗れなかった。無料のタクシーを出せ」  「運転が荒すぎる。運転手をクビにしろ」  運転記録などを確認すると、ほとんどが事実と異なる指摘だった。  社長は「普通のクレームだったら、むしろありがたいですし、改善できるよう対応したいと思っています。ただ、ささいなミスを激しく責め立てたり、事実無根の苦情を言ったりするのはやめてほしいんです」と訴える。(小川尭洋)

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