「ご当地グルメ」で街を元気に 都内中小経営者らが商品作り

地域独特の味や食材で人気の「ご当地グルメ」で街を活性化させようと、東京都内の中小企業の経営者団体などが商品作りに挑戦している。目標は、B級グルメの祭典「B1グランプリ」出場。地方への観光客などの誘致という従来の図式とは違って、都市部への呼び込みを図る。ライバルも少なくないが、関係者は「『ご当地グルメ』で、もっと魅力ある街にしたい」と意気込んでいる。
き ◆大田区は焼きそば
 国内最大の中小企業集積地である大田区。最近は、景気低迷の影響などもあって停滞気味だ。10月末には羽田空港の国際化も控えるが「区内企業への恩恵は、あまり期待できない」とあきらめの声を漏らす関係者も少なくない。
 「活気がなくなりつつある街に刺激を与え、もっと魅力的な街にしたい」
 こう話すのは、地元の中小企業の若手経営者らで作る異業種グループ「大田まち街ネット」の河津修平実行委員長だ。
 街の活性化の一手として企画開発したのが「東京大田汐焼きそば」だ。もちもち感を出した特製平打ち麺(めん)が特徴で、鶏がら塩味のタレも地元の調味料メーカーの特注品。具材にも工夫を凝らす。アサリなど10種類を使っている。地元の力を結集して生み出した。
 料理専門家の助言などを生かして、年内にもレシピを確定。その後、地元の取扱店舗の拡大や一層の知名度向上を目指す。河津委員長は「将来的にB1グランプリへ出場し、羽田空港で、お土産として買ってもらうようにしたい」と力を込める。
 ◆練馬区は野菜餃子
 練馬区内では、練馬特産のキャベツを使った「練馬野菜餃子(ぎょうざ)」をご当地グルメとして育てていく取り組みが進んでいる。
 地元中小企業なども加盟する区観光協会が音頭を取り取扱店舗の拡大などを狙ったイベントを10月末に開催。区内の飲食店などに練馬キャベツを使った餃子を作ってもらって品評する。
 アニメ関連企業の集積地で、都内有数の人口を抱える練馬。ただ全国的な知名度は高くない。区などは観光振興にも力を入れ、新たな「起爆剤」を求めている。
 同協会観光資源開発委員会の石塚康夫委員長は「練馬野菜餃子を食べ歩きできる環境を区内で作る。街を元気にして、2012年のグランプリに参加できるよう準備を進めたい」と話す
 B1グランプリを運営する「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」によると、知名度向上とともに、参加数は年々増加。9月18、19の両日に神奈川県厚木市で開かれる大会には46団体が参加予定で、前年よりもほぼ倍増した。
 事務局では「地元の食を愛し街を元気にしようと活動する団体には、協議会に加盟して街の活性化につなげてもらいたい」としている。
 「B級グルメが地方を救う」などの著書があり、ご当地グルメ事情に詳しい新潟大の田村秀教授は「地域経済が疲弊する中で、富士宮市(静岡県)や宇都宮市などの成功事例に刺激を受け、地域のブランド戦略が都市と地方を問わず注目を集めている」と分析。「特にご当地グルメは、地域住民の誇りにもなり、比較的開発も容易であることから、多くの自治体が取り組んでいる」と話している。

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