「すいか農学校」で技術継承 山形・尾花沢に開校 ブランド維持へ若手農家ら研修

夏スイカの生産量日本一を誇る「尾花沢スイカ」のブランド力維持に向け、山形県尾花沢市で今春、栽培技術の研修会などを行う「尾花沢すいか農学校」が開校した。初年度は栽培農家を目指す16人が入校。生産者や関係団体が連携し、組織的に教育する。

 農学校は、尾花沢市などが開設した研修プログラム。就農希望者や就農したばかりの人を対象に、スイカ栽培の技術を現場で学ぶ実習や農業経営の手法を学ぶ座学形式の講座を月1、2回、年間計15回実施する。市内在住の48歳以下が対象で、受講料は無料。

 開設の狙いは円滑な就農者の世代交代だ。尾花沢市には付加価値の高いスイカの栽培に魅力を感じる新規就農者が増加。今年は市内外から6組7人が就農した。一方で高齢化を理由とした離農も相次いでおり、農学校を通して高品質のスイカ栽培技術の継承を地域全体で行う。

 スイカ苗の定植が最盛期を迎えた今月8日、学長を務める大山功さん(69)の畑で初回の研修があった。大山さんやJA、山形県職員らが講師を務め、定植前後の水管理や苗を寒さから守るトンネル内の温度管理、つるを厳選する摘心などについて実演を交えて指導した。

 大山さんは「質の悪いスイカが出荷されれば、地域全体に影響する。自分に分かることは何でも教えて、若い人と一緒にお礼状が来るようなスイカを作っていきたい」と話した。

 学生の引地拓也さん(30)=宮城県利府町出身=は「異なる生産者の技術を知ることで、困ったときの引き出しが増える。基本に立ち返ってじっくり学びたい」と意気込んだ。

 2022年の尾花沢市のスイカ産出額は34億円で、熊本市に次ぎ全国2位。高い品質が評価され、単価が高水準で推移している。

タイトルとURLをコピーしました