「家出して困っている中高生は連絡ください」「泊まる場所提供します」――。ツイッター上のこうした書き込みに子どもたちが誘い出される事件が全国で後を絶たない。たとえ同意の上でも、保護者の許可なしに未成年を自宅に宿泊させる行為は犯罪となる可能性が高い。愛知県警は投稿者に「それ誘拐かも!?」などの警告文を送り、投稿をやめさせる全国初の取り組みを1月から始めた。
ツイッター上では家出希望の子どもに対し、「相談に乗る」「うちにおいで」などの誘い文句で接触しようとする書き込みが相次ぐ。家出した子どもたちを自宅などに無料で泊める人を「神」と呼ぶ現象も起き、「#神待ち」などのハッシュタグをつけてお互いを探し合っているという。文教大学情報学部の池辺正典准教授の調べではツイッター上の「神待ち」関連の投稿は1日平均約360件だった。
警察庁によると、ツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じた18歳未満の連れ去り被害は2018年は42人で、5年前の14倍に増加した。
19年11月に県内の女子中学生(14)が東京都内の男(43)に連れ去られた事件では、ツイッターで「部屋を貸して」と呼びかける少女に、男は「ベッドが一つなので一緒に寝ることになりますが大丈夫ですか」などと言って誘い出し、自宅に4日間住まわせていた。
男は県警の調べに「支配下には置いていない」と容疑を否認したが、捜査幹部は「たとえ本人の同意があり、無理やり連れ去っていなくても、未成年者を勝手に宿泊させる行為は誘拐に当たる」と警鐘を鳴らす。
県警の担当者は「見ず知らずの人の家に泊まり、性被害などに遭うケースも多い。警察が目を光らせていることを意識させることでこうした投稿を減らし連れ去りを防ぎたい」と話した。【高井瞳】