「ちょっとくらい収入減ってもいい」──テザリング解禁に込めるauの「ワクワク感」

 KDDIは2月28日、初めてWiMAXに対応したAndroidスマートフォン「htc EVO」と、米Motorola製Android 3.0タブレット「XOOM」を4月上旬以降に発売すると発表した。
 昨年の就任以来「ドコモでもない、ソフトバンクでもない、auらしさとは『ワクワク感』」と述べてきた田中孝司社長は、テザリングを“解禁”したEVOと米国での前評判が高いXOOMで、ハイエンドユーザーにもauの本気度を見せていく。
 台湾HTC製の「htc EVO WiMAX」(ISW11HT)は、3G(CDMA 1x WIN)と下り最大40MbpsのWiMAXに対応したAndroid 2.2スマートフォン。WiMAX(UQ WiMAX)は基本料金にプラス525円で利用できる(WiMAX料金は8月分まで無料)。目玉となるのはテザリング機能。最大8台までのデバイスを無線 LAN経由で接続し、3G/WiMAXでネット接続可能な無線LANルーターとして使える。
 「MOTOROLA XOOM Wi-Fi」(TBi11M)は、Android 3.0とデュアルコアプロセッサTegra 2を搭載したタブレット端末。米国ではVerizon Wirelessから24日に発売された。10.1インチ(1280×800ピクセル)のマルチタッチ対応液晶ディスプレイでフルHD動画などを高精細に再生できるという。約500万画素アウトカメラ/約200万画素インカメラも搭載している。
●もっとauのワクワク感を
 「今までのKDDIだとここで終わりになるのですが、もっとワクワク感が欲しいということで」──都内で開いた発表会。田中社長はEVOのWiMAX対応について説明したところで「テザリング解禁」という表現で目玉機能を発表した。
 「WiMAXはスループット規制をかけていないので、40Mbpsをエンジョイしていただきたい」。UQ WiMAXのカバー率は、2月末時点で政令指定都市の実人口の90%超。EVOについては「ほとんどのトラフィックがWiMAXを経由して流されると思っている。その結果3Gトラフィックはかなり減るというデータがあり、それをベースに料金を算出している」という。auのデータARPU(加入者1人当たり収入)にネガティブな影響が出る可能性もあるが、「auのユーザーにワクワク感を伝えたいので、ちょっとくらい収入が減ってもいい」という思い切りだ。
 昨年発売した「IS03」の販売台数は現在50万台に達する見通し。「auの本気度を見せる」と投入したIS03が「日本人向けの“ガラスマ”(ガラパゴススマートフォン)の世界を切り拓いた」と自負するのに対し、この日発表した2機種は「ハイエンド、とがったユーザー」がターゲット。「超!速いスマートフォン」と「超!注目度ナンバー1のタブレット」という「超!×2」の発表で、ハイエンドユーザー向けにもauの「ワクワク感」と本気度をアピールしていく。
 「禁断のアプリ」と予告して導入したSkypeは、auスマートフォンユーザーの3割が使用しているという。Skypeに続き安価なWiMAXサービスとテザリングの“解禁”で収入を減らす可能性を田中社長は認めつつ、「結局はユーザーに喜んでいただいていくらだと思っている。ワクワク感をまず第一に考えて、auっていいよねという認識をユーザーに持っていただきたい」と話す。2011年度はスマートフォンへのシフトを加速し、半数以上の機種をスマートフォンとする考えだ。
●au版iPhoneの可能性は?
 EVOは世界で標準的な新800MHz帯に対応する。「EVOはグローバルフォン。米国で販売していたものと比べ差分がほとんどない。CDMAという意味では敷居が非常に低くなってる」(田中社長)。「グローバルフォンは技術的障壁はほとんどない」が、CDMA版iPhoneなど、今後の投入を計画している具体的な機種については「回答を控えさせていただく」とした。

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