「つや姫」の宮城県内作付面積 前年の4倍に

山形県がブランド化を進める水稲品種「つや姫」の宮城県内の作付面積が2012年、前年の4倍に急拡大する見通しとなったことが15日、宮城県の調べで分かった。高温障害に強いことや品質の高さが農家に支持されているという。
 県農林水産部によると、12年産米の種子配布計画のデータを面積に換算したつや姫の作付面積(推計)は1380ヘクタール。11年産の335ヘクタールから、一気に1000ヘクタール以上増えるとみられる。県内で初めて本格的に作付けした10年産は60ヘクタールだった。
 県振興事務所別には北部(栗原)650ヘクタール、仙台252ヘクタール、北部(大崎)218ヘクタール、大河原215ヘクタールの順。一部を除き、それぞれ1.6~18.6倍に拡大する。
 人気の背景にはつや姫の品質の高さがある。11年産の1等米比率(昨年末現在)は、県内各品種の平均が82.3%だったのに対し、県産つや姫は92.8%。10年夏の猛暑でも品質を保ち、高温障害への強さを発揮した。
 晩生(おくて)品種としての利点もある。県内の主力品種ひとめぼれは中手(なかて)。稲刈りなどが10日ほどずれ、水田集約が進む中、作業の分散化、効率化につながると期待される。
 県内の12年産米の作付け見込み面積は7万480ヘクタール。このうち、ひとめぼれは7割を占める。つや姫は2%に満たないが、県は、水田の品種構成を増やして高温障害で全滅するリスクを軽減させ、県産米の評価の底上げにつなげたい考えだ。
 つや姫は食味が良く、山形県は高級ブランド路線で売り出す。ササニシキやひとめぼれを生んだ米どころの宮城県内で隣県の有力品種が広がることについて、県農林水産部は期待の半面、「県内で育種した品種があれば理想。複雑な思いの人もいるだろう」と指摘した。
 宮城県は09年9月、県が種子を生産する奨励品種に「つや姫」を指定した。

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