宮城県亘理町は2日、「はらこめし推進条例」案を同日開会した町議会9月定例会に提出した。同町荒浜が発祥とされる郷土料理をアピールし、町民と一体となり後世に伝承する決意を示す。
条例案は前文と全4条で構成。前文で「町と県を代表する秋の郷土料理」と位置付け、2条では「町と町民ははらこめしに誇りと愛着を持つ」と掲げる。4条は、日本記念日協会(長野県)に2016年に認定された10月8日を改めて「はらこめしの日」と定めた。
はらこ飯は秋サケとはらこを載せたご飯。前文によると、五穀豊穣(ほうじょう)と豊漁に感謝し、新米と阿武隈川を遡上(そじょう)したサケを調理し、神社に供えたことが始まりとされる。亘理を訪れた仙台藩祖伊達政宗にも献上されたという。
町によると、はらこ飯の人気は年々高まり、昨年度は町内で少なくとも定食と弁当計約10万食が売られた。近年は町外でも提供され、発祥の地を明確に発信するため条例制定に乗り出した。
町が飲食店などに条例への意見を聞くと、「条例を店内で掲示し、町の取り組みを伝えたい」「はらこ飯の歴史を紹介する施設があれば良い」などの声が寄せられた。
町企画財政課は「亘理が発祥地であることを発信し、未来を担う子どもたちに郷土料理への誇りと愛着を一層持ってほしい」と話す。