宮城県加美町は22日、町内の中新田図書館に、人気漫画「ぼのぼの」の作者いがらしみきおさん(67)の仕事場を再現した「いがらしみきお ぼのぼの館」を開設した。いがらしさんは「漫画家や創作する人になりたいという子が増えてほしい」と語った。
いがらしさんは加美町生まれ。現地で同日行われたオープン式典に参加し、「(16日深夜の)地震で本棚が倒れ、整理したら自分の人生の振り返りになった。自分の知らない世界や人生を経験したのが本。町民が読書に親しむ一助になりたい」とあいさつした。図書館の名誉館長に就いた。
ぼのぼの館は児童書コーナーの一角に整備した。いがらしさん愛用の机、いすを配置。机回りの小物も忠実に再現し、創作現場の雰囲気を伝える。館内には、いがらしさんが描き下ろしたイラストや原画も展示。漫画作品や映像化された作品もそろえた。
いがらしさんは昨年4月に仙台市の事務所を閉鎖したのに合わせて、机やいすを町に寄贈していた。「今の新しいいすはしっくりこない。このいすを持ち帰ろうかな」と冗談を言うなど気に入った様子だった。
町は利用者に地域を回遊してもらおうと、図書館と商店街の路上にぼのぼののキャラクターの石像付きベンチを11カ所設置。石像付きの8本の車止めも新たに整備した。
今後、いがらしさんの作品を常設展示している仙台文学館(仙台市)と連携し、展示の充実や企画展開催に取り組む。中新田図書館の開館時間は平日午前10時~午後6時。土日祝日が午前9時~午後5時。月曜と祝日の翌日などが休館となる。