「まけるまい!」発売 仙台の被災者 新庄で田植え

東日本大震災で津波被害に遭った仙台市若林区の被災者ら約50人が昨年6月、山形県新庄市の農家グループ「ネットワーク農縁」などに招かれて現地で田植えしたコメが、「まけるまい!」と銘打って商品化された。「農縁」が市内のNPOなどの協力を得て販売する。売上金は、被災者が津波体験を語り継ぐ場づくりに充てる。
 販売するのは、「農縁」代表の高橋保広さん(65)が所有する18アールの水田で収穫されたあきたこまち約1トン。このうち400キロ分は、昨年11月の収穫祭で田植えに参加した被災者一人一人に手渡した。残りを新庄市内のNPOと分担してイベントなどで販売するほか、注文にも応える。
 商品化は、高橋さんらが昨年末、参加者の多くが暮らす若林区の若林日辺グラウンド仮設住宅を訪ねた際、津波から逃れたり、流された人を助けたりした被災者の体験をじかに聞いたのがきっかけとなった。
 「今だから話せることがあると知り、風化させないために教訓を広く伝えていくことが大事だと感じた」と高橋さん。コメ販売の収益は語る場の運営に生かされ、1回目は2月11日に東京で開催する予定。
 昨春の無料バスツアーは、「農縁」と山形県鮭川村の地域活性化団体「鮭川地域資源戦略会議」が、それぞれ仙台市若林区六郷の避難所で炊き出しをした縁で連携し、今度は地元でもてなそうと鮭川村も加わり行った。当時は避難所に身を寄せていた被災者が1泊2日で田植えのほか、鮭川村での温泉宿泊などを楽しんだ。
 「まけるまい!」には、田植え参加者が手書きした1枚ごとに異なるメッセージカードを添えた。アニメ映画「となりのトトロ」に登場するトトロに似た巨木「小杉の大杉」(鮭川村)の前で撮った参加者全員の写真も載せている。
 450グラム入りの標準袋が500円。2キロ2000円、5キロ5000円、10キロ1万円。送料別。連絡先はネットワーク農縁090(1060)1392。電子メールnogoshi@fuga.ocn.ne.jp

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