「まずは命」心掛けて 京都で震災体験講演会

防災・減災キャンペーン「いのちと地域を守る」に取り組む河北新報社は21日、東日本大震災の語り部による「被災体験を聞く会」を京都市の京都新聞文化 ホールで開いた。京都新聞社と共催して22日に同市伏見区の向島ニュータウンで開く巡回ワークショップ「むすび塾」の一環。市民約100人が震災の教訓に 耳を傾けた。
震災で中学1年の長男を亡くした名取市の丹野祐子さん(46)は「名取に津波は来ないと思い込み、地震後に息子にそう伝えてしまった。災害の知識の無さを後悔している」と苦しい胸の内を明かし、「何よりも自分の命を守ることを心掛けてほしい」と訴えた。
岩沼市の南浜中央病院は震災の津波で孤立し、入院患者ら300人が取り残された。事務部長の安部弘章さん(54)は「寝たきりや車椅子の入院患者を上の階に避難させるのは大変な苦労だった」と振り返った。
38年前にフィリピンから来日した宮城県南三陸町の英語講師佐々木アメリアさん(61)は、日本語に不慣れなフィリピン人の女性が津波で流されたことに触れ「防災無線による避難呼び掛けはあったが、『津波』『高台』などの単語が分からなかったのではないか」と語った。

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