イッセイ ミヤケは、メンズの「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」を2020-21年秋冬シーズンをもって休止する。全国の同ブランドの店舗も20-21年秋冬シーズンを最後に順次閉店する予定で、社内の体制も含めて現在調整を進めている。 【画像】「イッセイ ミヤケ メン」がブランド休止 立ち上げから42年で
同社は休止の理由を「新型コロナウイルスの影響ではない」とし、「男性服の新たな可能性を探る取り組みを始めるため」と説明する。また一部で報じられている、来春入社を予定していた新卒者の内定取り消しや、経営不振とは「全く異なる事案」と述べ、新型コロナウイルスの感染拡大前から検討していた計画だったと強調している。
同ブランドは1978年にイッセイ ミヤケのメンズブランドとして立ち上げられた。85年秋冬シーズンからパリ・メンズ・コレクションに参加し、2012年春夏シーズンから現ブランド名に改称した。現在は東京・青山の路面店をはじめ、全国の百貨店を中心に複数の店舗を構えている。しかしパリでのランウエイショーは19-20年秋冬シーズンを最後に休止しており、今年2月には14年春夏シーズンから6年間にわたって同ブランドを率いてきた高橋悠介が退社。20-21年秋冬シーズンからはデザインチームが引き継ぎ、新体制が発足した矢先のブランド休止となった。
【エディターズ・チェック】 イッセイ ミヤケは日本のファッション業界でも大きな影響力を持つ。新卒者の内定取り消しが明るみに出た際も、一般メディアやテレビのニュース番組が“苦境に立つファッション業界”の事例の一つとして報道した。メンズ休止に関して同社は「新型コロナウイルスの影響ではない」と強調しているものの、「またか」という印象を世間が抱くことは避けられないだろう。事実、業界全体が窮地に立たされている今、ファッションをネガティブに語ることは容易である。だからこそ、同じ業界のメディアとして、同社の「男性服の新たな可能性を探る取り組みを始めるため」という前向きな言葉を信じたい。ファッションの力で世界中を驚かせ、感動を与えてきた技術や伝統を絶やさないように、“新たな可能性”をともに探り続けたい。