■レジャーは近くの公園/親子3人で川の字就寝
景気後退やライフスタイルの変化で、「家族」の姿が大きく変わる中、夫婦や親子関係がフラットで身の丈にあった暮らし方をする「イマドキ家族」の存在が注目されている。
「草食男子」の名付け親でコラムニストの深沢真紀さんは今年9月、トヨタマーケティングジャパンとともに子供を持つ20~60代の男女1万人に家族の意識や行動について調査。
「主流は20、30代の夫婦に子供1人という3人家族。レジャーは近くの公園、外食はショッピングセンターのフードコートですませ、お金を使わずに楽しむ志向がうかがえました」
夫は仕事、家事は妻任せ、という姿は消え、家族全体が“草食系”になっているという。
「イマドキ家族は親子3人が川の字になって寝たり、子供の誕生日など家庭内のイベントを重視します。ブランドに金をかけなくても、おいしい米が炊けるなら10万円もする炊飯器を買うなど、実用志向が強い」
一方、保育士の経験があり男性の育児に詳しい神戸常磐大学短期大学部准教授の小崎恭弘さんは、「今や男性が育児をする“イクメン”は当たり前で、男性が育児休職を取り、ワークライフバランスを実現するのは企業にとってもプラス。生き方の質を重視する人たちはますます増える」と指摘する。
博報堂生活総合研究所グループマネージャーの吉川昌孝さんは、「家事、育児の参加で男は復権している。“男力(だんりょく)”は増している。1980年代末、家族でも金によるつながりが目立ったが、今は意識して家族になろうとする傾向がある」とみている。
派手な生活に背を向け、家族で小さくまとまるように映るイマドキ家族だが、これでは積極的な消費に向かわないのではないか。
深沢さんは「今は商品の開発者も生活者の視点を持つし、日本にはユーザーに対して工夫する文化がある。自動車なら総花的な高級車でなく、より安全に運転できたり、エコにこだわるような車が支持される。消費者のために工夫されたものは売れ続けるでしょう」と分析している。(谷内誠)