新型コロナウイルス感染拡大により在宅で過ごす人が増える中、地域に深く関わる信用金庫で不要不急と思われる来店客が多くなり、現場の窓口業務などに影響が出ている。出勤者を減らしながらの対応で従業員も疲弊。「緊急に必要な方だけ来店いただければ」と悲痛な声が上がっている。
【写真】「車両型ドローン」を使った消毒液の散布作業(大分銀行下郡支店)
東京都や神奈川県内に営業拠点を構える城南信用金庫。新型コロナ対策として、4月上旬から窓口業務に当たる従業員を半減し、交代で出勤させている。逆に来店客は増加傾向にあり、高齢者が現金を持ち込み「ウイルスが付いているかもしれないので、新札に替えてほしい」などと要望するケースもあるという。
また、古い通帳が見つかったとして、解約手続きや、現在も使用できるか確認に訪れる人も。通帳の確認作業には40分~1時間程度かかることもあり、負担は大きい。
本店(東京都品川区)で窓口業務に当たる丸山由香さん(34)は「用件が済んでも、店内に長時間残り、知人と雑談をされているお客さまもいらっしゃる。マスクを着用されない方もおり、感染の不安の中で仕事をしている」と明かす。
融資の現場でも仕事量は増大している。資金繰りに窮した企業からの申し込みが急増し、通常時と比べ仕事量は5~10倍になっているという。お客様応援課の染谷正春さん(30)は「帰宅時間も以前は午後7時ごろだったが、今は連日9時から10時ぐらい」と訴える。
同信金ではゴールデンウイークを返上し、融資対応に当たる予定だが、鎌田修本店長は「最大限の努力をしているが、限られた人員で対応しており、厳しい状況だ」と顔をしかめた。