「カキ」6次産業会社設立 石巻の漁業者6人、売り込みに汗

 牡鹿半島の西部に位置する宮城県石巻市の狐崎浜で、カキ養殖の漁業者6人が生産から加工、販売まで手掛ける株式会社「狐崎水産6次化販売」を設立した。東日本大震災で全滅したカキ養殖を立て直すため、処理場なども自前で整備した。12月の販売開始を目指し、メンバーは慣れない営業活動もこなしている。
 資本金110万円は全員で出し合い、ことし7月に設立した。震災後に育てたカキを、殻付きやむき身で消費者に直接販売するほか、飲食店にも出荷する。
 会社のホームページを制作したり、仙台市内のイベントなどに出向いてチラシを配ったりと、営業活動は盛んに展開している。震災後に支援してくれたボランティアや企業の紹介で、飲食店にも売り込みを掛ける。
 専務の佐藤信也さん(46)は「これまで営業も接待もやったことがない。販路開拓が一番大変な仕事」と笑う。
 震災前、狐崎浜では18人がカキを生産していたが、被災して5人がやめた。養殖を続ける漁業者のうち6人がグループ化して再開に向けて動きだした。ただ、任意組織では施設を整備する資金調達もままならない。
 社長の古内新一さん(48)は「いっそのこと会社をつくろうという話になった」と説明する。
 金融機関から融資を受け、独自にカキ処理場や浄化設備を整えた。早ければ15日にも出荷を始める予定だったが、海水温が高い影響で実入りがいまひとつだったため12月に延期した。
 古内さんは「今までは県漁協の共同販売に出荷すれば、お金になった。自分たちで販売も手掛ける以上、高品質の商品を提供しないと注文してもらえなくなる。多くの消費者にいいカキを届けたい」と意欲を見せる。

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