仙台市青葉区の一番町四丁目商店街で、ゲームセンターの「仙台レジャーランド一番町店」が9日、閉店しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、利用客が減ったことなどが影響したとみられます。もっともコロナの以前から中心市街地ではゲームセンターが姿を消しつつあった流れもあります。「ゲーセン」はどこへ向かうのか、取材しました。
(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)
閉店の前日の夕方、仙台レジャーランド一番町店を訪ねました。主に1階はクレーンゲーム、2階は音楽ゲーム、3階はマージャン、スポーツなどの対戦ゲームが並んでいました。ゲーム機計200台。訪ねた時は約70人の客がおり、ゲームに熱中していました。想像していたより、にぎわっている印象を受けました。
店を出てきた客に話を聞きました。オンライン協力対戦ゲーム「ワンダーランドウォーズ」をプレイしに週に1度ほど訪れている無職男性(26)は「1200円で2、3時間は楽しめます。他の店より機体がきれいに保たれていたので気に入っていました。ここがなくなったら、もうゲームをやめるかも」と閉店を惜しんでいました。
月に1度ほどクレーンゲームを楽しんでいるパート女性(60)は「他の店より取れやすかったけど、ここ1年は取れにくくなったなと思っていました。コロナで客が減ったとは感じていませんでした」と少し驚いた様子で話しました。
最後の日、店は午前0時50分まで営業しました。女性店員は「(時短営業要請により)午後8時を過ぎると通りに人がいなくなるので、当然、お客さんは減りますよ」と諦めたように語りました。
運営会社の山崎屋(金沢市)によると、2011年の東日本大震災の影響で閉店したゲームセンターを居抜きで引き継ぎ、12年8月にオープンしました。担当者は「復興特需で人通りが多かったけど、それもなくなったし、駅からは遠いですからね。(閉店する理由は)契約期間満了で、コロナだけではないです」と説明しました。
全国の店舗数、2010年から3割減
果たしてコロナは売り上げにどのぐらい影響を与えているのでしょうか。アミューズメント施設(ゲームセンター)を運営する上場6社の決算資料を調べました。
1回目の緊急事態宣言を受け、各店が休業に追い込まれた昨年の4~6月期は各社とも前年同期比で売り上げが5割以上減り、8割減に迫る社もありました。その後は持ち直し、第3四半期の12月までで3割前後の減少幅となっています。
対照的に、家庭用ゲームは巣ごもり需要を取り込み活況を呈しています。任天堂は昨年3月に発売したソフト「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」が世界累計3200万本超の大ヒット。21年3月期連結決算では純利益が前期比85・7%増の4803億円と過去最高を更新しました。
ゲームセンターの店舗数はコロナ以前から全国的に減少傾向にありました。約200社が加盟する業界団体の日本アミューズメント産業協会(東京都)の調査によると、2010年は1万8638でしたが、直近の19年は1万2212。9年間で3分の2に減った計算になります。
この間、1店舗当たりの設置台数と売上高はおおむね右肩上がりでした。地代が高く採算が取れない市街地の店舗を閉鎖し、郊外にあるショッピングセンター内などに集約して大型化を進めてきたことがうかがえます。
各社はコロナ下のニューノーマル(新たな日常)への対応を模索中です。スマートフォンなどから遠隔操作でクレーンゲームを楽しみ、獲得した景品が郵送で送られてくる「オンラインクレーンゲーム」は業界大手が近年、力を注いでいます。レバーがなく手をかざして操作するクレーンゲーム、キャッシュレス決済で手で回さずにカプセルトイが出てくるガチャなど新機種も登場しています。
ゲーセンの立地や形態は時代とともに移り変わっていくようです。