「コロナごもりの食事」どうすれば良い…?のギモンにお答えします

“コロナ疲れ”の深刻化

 新型コロナウイルスの感染事態の収束が見えない中、日常生活に疲れが出ている方も多いと思います。学校閉鎖や配偶者のテレワークでの在宅勤務で、家族が一日中、家にいて3食の食事作りに辟易している、との声も多く聞きます。

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 そこで今回は、上手に手を抜きながら健康に大事な栄養素も摂れ、しかもおいしいお料理作りの工夫をお伝えします。

 まず、一日中家にいるとなると消費カロリーが減る一方で、時間があるので食べ物を口にする機会が増えます。そうするとおなかが空かないので普段と同じ料理を作ってもおいしく感じてもらえない…という状況が起こりがちです。子供と外で遊べられればまだよいのでしょうが、都心に住まれている方はなかなか難しいと思います。

 学校や会社が休みですと登校時間や出勤にかかわる時間が必要ないので、起床時間も遅くなりがちです。人間には体内時計があり、25時間周期で動いています。1日は24時間ですから1時間の「ずれ」が起こります。その「ずれ」を戻しているのが「朝ごはん」と「朝浴びる光」です。起床し、朝日を浴び、朝ご飯を食べることで体内スイッチが入り時間のずれをリセットするのです。

 朝ご飯には温かい豆腐入りの具沢山の味噌汁に卵を入れたものがおすすめです。具沢山味噌汁と聞くだけで面倒な気分になる…そんなときはコンビニで売っているカット野菜でも構いません。カット野菜は栄養がない、といった意見もありますが、それでも摂るに越したことはありません。また、朝に温かいものを摂取すると体温が上がり活動しやすくなります。

photo by iStock 「朝はパンとコーヒー」派は要注意

 新型コロナで在宅が続いて運動不足や筋量の減りを感じる場合、朝にたんぱく質をとった方が筋肉作りに効果的ということもわかっています。とくに「朝はパンとコーヒー」派は要注意。たんぱく質と食物繊維の摂取量が不足するのでパルメザンチーズなどを入れたオムレツや新鮮な果物を摂ってください。

 市販の野菜ジュースにビタミンや食物繊維はあまり期待できませんので果物がおすすめです。果物は果糖が多く中性脂肪になりやすいので朝に食べるのがベスト。寝る前などに摂ると太りやすくなりますから夜は控えましょう。

 手軽なシリアルも工夫次第で栄養価が高まります。ドライフルーツ+バナナ+ヨーグルト+全粒粉のシリアルは、ミネラル・ビタミン・たんぱく質・脂質・食物繊維を全て摂取できますから、決して手抜きの朝ご飯ではないのです。一緒に温かい飲み物を摂ればなおよいでしょう。

 大切なのは、だらだら食べないこと。時間を決めて次の行動に移しましょう。がっつりテレワークの方はかなり消費カロリーが少ないので、途中、時間の許す限り軽いスクワットやストレッチをして少しでも体を動かす事が大事です。また家事は意外とエネルギーを消費しますから積極的に取り組んでみるのもおすすめです。

バリエーションに困りがち…

 一番マンネリ化しやすいのが昼ご飯という意見が多くあります。家で食べる習慣が一番少ないという理由からだそうです。冷凍めんやインスタント食品などの利用頻度も高く、バリエーションに困ってしまいますね。

 実は昼食の時間帯はインスリンというホルモンが一番出にくいので太りにくいといわれています。ですから、多少カロリーが高く太りやすいといわれているものでも、時々であればランチタイムに食すのがおすすめです。

 ただ、あくまでも時々。前述したように在宅ですと消費カロリーが少なくストレスがたまりやすいので、摂取カロリーオーバーになりがちです。そこは意識してくださいね。「肥満の原因は糖質で、脂質とタンパク質はいくら摂ってもOK」といった健康情報をよく見かけますが、脂質とタンパク質の過剰摂取は循環器系の疾病を誘発することが研究で分かっています。肥満は病気の原因になることはありますが、糖質も必要な栄養素なのです。

 太りにくいランチタイムでも、野菜は積極的に摂取してください。生野菜がお好きな方はできるだけ昼ご飯で。生野菜は体を冷やしますが、午後から体温は上がるので心配ありません。手でちぎったたっぷりのレタスに海苔をちぎてのせてシラスなどを散らし、オリーブオイルをかけるとまな板・包丁・調味料いらずでおいしいサラダができます。海苔もシラスも味が強いですからドレッシングはいりません。

 塩分過多は生活習慣病を招くので調味料にも気を付けたいですね。血圧が心配な方は特に朝と昼に塩分を摂ると血圧をあげるホルモンが分泌されるので注意しましょう。シラスは塩分がありますが骨つくりにかかわるカルシウムやビタミンD、DHA、EPAを含む栄養価の高い素材です。使い勝手もよいので時間に関係なく積極的に摂ってもらいたい食材です。牛乳を使ったグラタンにもシラスを入れると塩などを入れなくても旨味と塩分でおいしく作れますよ。

カロリーオーバーになる可能性が

 子供が小さい場合は捕食としておやつが必要な場合がありますが、小学校低学年以上であれば、家にずっといるのならばおやつは摂取カロリーオーバーになりがちなので控えたほうが良いでしょう。昼ご飯から夕食までは何も食べない方が夕食をおいしく感じてもらえます。

 夕食では、寝ている間に体の中で起こる修繕作業に必要な栄養素を摂ります。特に、たんぱく質とビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、カルシウム、マグネシウムは骨のリモデリングに必要な栄養素ですから意識して摂りましょう。

 おすすめは鮭。たんぱく質、ビタミンD、カルシウム・マグネシウムを含むほか細胞の酸化を防ぐアスタキサンチンというファイトケミカルも含みます。鮭に胡椒を振りスライスした玉ねぎとニラなどを乗せてホイル包みにして魚焼きグリルで焼き、たっぷりレモン汁をかけたものと、小松菜の納豆和えを夜食べれば骨つくりに役立つ栄養素が摂れます。最近は焼き鮭がコンビニやスーパーで売っているので、焼き鮭からスタートしてもOKです。

 コンビニや冷凍食品もうまく活用するとかなりラクになります。

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たとえば…
・あたりめをお酒でさっと煮て塩昆布と千きり人参で和えればおいしいおつまみに
・さきいかとカットごぼうをごま油と鷹の爪で炒めてめんつゆをかければきんぴらに
・冷凍フライドポテトを牛乳で煮て、シーフードミックスと野菜、コンソメを入れて煮込めばシチューに
・鶏のから揚げを一口大に切ってニンニクと多めのオリーブオイルで煮ればアヒージョに
———-少しの手間でOK

 出来合いのお惣菜は塩分が高く、たんぱく質の量が少ないので野菜と植物性たんぱく質である厚揚げや豆腐、高野豆腐やお麩などを加えて一緒に煮れば、食べ応えがありながら塩分が低く、野菜たっぷりのヘルシーなおかずになります。料理に時間が使える日があれば豚肉のかたまり肉などを購入し、かたまりのまま柔らかく茹でてから下味をつけて切り出して少量パックに小分けしておけば、酢豚でもカレーでも角煮でも短時間で仕上げられます。

 毎食料理をイチから作るのは余程の料理好きでないとできませんし、毎回買い物に行くのも大変です。手抜きと思わず、ちょっとの工夫や手間でおいしくて新しいレパートリーを増やせますよ。

 最近の冷凍食品やお惣菜は比較的レベルの高いものが多く、レシピ本と戦って作るよりおいしいく仕上がることも。1回や2回の食事が不備だからと突然病気になることはありません。お料理がストレスにならないようにするにはあまり真剣に悩まないことも大切なんです。

 まだまだ続くであろうこの事態と付き合っていくには、毎日を過ごすことが苦痛にならないことが一番重要かもしれません。楽しく食べることで体のNK細胞が活性化し、免疫力を高めることもわかっています。こんな時こそ笑って楽しくご飯を食べましょう。

堀 知佐子(管理栄養士・食生活アドバイザー)

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