「コロナ検査で、陽性反応出た。パニック恐れて公表せず」

「コロナ検査で、陽性反応出た。パニック恐れて公表せず」

 背筋の凍るような文章が投稿されたのは、2月19日、女性看護師たちが集うLINE上でのことだ。

 首都圏の大型病院に勤務するのべ約1500人の “白衣の天使” が参加する3つのグループは、ふだんはキャリアアップのための情報交換や、美容の話題で盛り上がる、平和な “女子会” だった。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、グループ内でのやり取りは、勤務先の病院が抱える “闇” を告発するものに変わっている。

「新型コロナウイルスに感染しているかどうかを検査する『PCR検査』は、設備の整った大病院なら、自前でできるところが多いんです。院内感染が広がるとまずいので、私の病院では、医師をはじめとするスタッフ全員の検査を、非公式におこないました」

 そう話すのは、前出のLINEグループにも参加している都内の大学病院に勤める看護師のAさん(36)だ。

「うちの病院では、幸い全員が陰性でした。でも、ほかの病院でも同時期に検査をしていたらしく、そこで“出て”しまったんです」(Aさん)

 それが、冒頭の投稿だ。

「あの投稿から、せきを切ったように、次々と院内での感染者の報告が寄せられるようになりました」(同前)

 本誌が確認した限りでも、30人以上の看護師たちがLINE上で、「うちの病院の先生からも出た!」「陽性出て自宅待機だって!」などと、院内での感染者の発覚を報告している。

 だが、この医師や看護師たちの感染の事実は、外部には公表されていない。

「2月13日に、和歌山県の済生会有田病院で男性医師の感染が確認されると、すぐに病院の外来が停止されてしまいました。ほかの病院は、コロナの感染を公表することで有田病院と同じような目に遭うことを恐れ、あえて公表しないんです」(Aさん)

 済生会有田病院では医師2人を含む5人の感染が確認された。関係者の検査が終了し、3月4日には業務を再開する予定だ。

 前出のグループ内では、新型コロナの陽性報告以外にも、パニックに陥った病院内の様子などが、ありありと伝わる内容が投稿されている。

「感染者は出てないのに、今週の兄の結婚式に出ないように指示された」
「K-POPのコンサート行ったら、めっちゃ怒られた」
「コロナの指定病院になったせいで、感染者っぽい外来がたくさん。もう辞めたい」

 医療現場でのマスク不足も深刻なようだ。

「マスクを転売した同僚がいるせいで、管理が厳しい……」
「マスクを使いまわすことになったけど、口紅ついちゃった。どーしよ」
「マスクの使い捨て禁止だって! 先輩が『天日干しにしろ』って言ってるけど……」

 さらに、不吉な投稿をする看護師もいる。

「うちは2019年の年末から、原因不明の発熱の外来患者が多かった。でも、インフルエンザ検査はほぼ陰性。ということは、アレしかないよね」

 Aさんも、「新型コロナの感染者は、政府発表よりも多いはずだ」と言う。

「都内だけで、すでに数千人はいると私は思います。大規模な検査をすればわかるはずなのですが、現状、新型コロナ専用の帰国者・接触者外来に来られた方を検査するには、保健所に電話と書面で依頼する必要があるんです。

 保健所が必要性を認めると、やっと検査がおこなわれます。設備はあるので、やり方を変えるだけで、多くの方を検査できるはず。政府は、実際の感染者数を隠したいんでしょうね」

 軽い風邪程度で病院に行くのは、しばらくやめたほうがよさそうだ。

(週刊FLASH 2020年3月17日号)

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