「これまであらゆる策を講じては行動に移してきましたが、こうして『外の力』を借りないと動かない『問題』にも違和感はあります」 山下達郎ラジオでの不遜発言に「ファンやめた」の大合唱 性被害者への想像力と社会性の欠如を露呈 ジャニーズ性加害問題当事者の会代表、平本淳也氏(57)はそんなコメントを発表している。国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会メンバーが来日、当事者の会などを公式訪問してのヒアリング調査をはじめたことへの感想だ。 ■「大人と子どもの間の『力の不均衡』」 故ジャニー喜多川氏による、未成年の少年らへの、半世紀以上にわたった性加害問題。「子どもに対する暴力撲滅グローバル・パートナーシップ(GPeVAC)」事務局長のハワード・テイラー氏は「子どもへの性暴力の背景には、大人と子どもの間の『力の不均衡』が共通して存在する。どの国でも起きており、決して日本だけの問題ではない」と朝日新聞の取材に語ったという。 華々しい芸能界へのデビューを夢見てジャニーズ事務所の門を叩いた少年たち。それをかなえることのできるジャニー氏は圧倒的な存在だったに違いない。そんなジャニー氏からデビューの見返りとばかりに性加害を受け、肛門性交まで受けていたという事実。テイラー氏は「悲しくなったが、驚きはなかった」とコメントしたそうだ。 国際的な問題だからこそ、大人が、社会が防止する法整備の必要性が急務ということだろう。 とはいえ、そうした国際的な趨勢と、日本国内の温度差はどうしたものか。山下達郎やデヴィ夫人のジャニー氏擁護のみならず、大阪の朝日放送テレビ(ABCテレビ)社長の山本晋也氏は会見で「事務所としても第三者委員会などで外部も入れて、しっかりやられている」とジャニーズを公に評価してみせた。 平本氏は1980年代後半から、著書などでジャニー氏による性加害を告発してきた元ジャニーズJr.。今回は英公共放送BBCがドキュメンタリー「J-POPの捕食者」で全世界向けに伝え、世界的に問題視されようやく大手メディアも報じ始めた。それなのにジャニーズは藤島ジュリー景子社長が性加害の存在すら「知らなかった」とし、第三者委員会も名ばかりで、開くという会見も「詳細未定」で先延ばし。 「この期に及んでもジャニーズへの忖度を続ける民放キー局、大新聞も文化部はスルーで、社会部だけこの問題を取材し報じているところもありますからね。そうした状況をみて、絶望的な気持ちにもなっているのでは」と、芸能関係者は推察した。 平本氏は「動じて応じる姿勢を見せてもらえないのなら、まだまだ続きます。これからもずっと」と続けた。国内がこの体たらくでも、外圧によって、変わる。そんな歴史を繰り返してきた国だからと、外圧に期待しているのだろう。 国連の作業部会メンバーはジャニーズのみならず、日本芸能界に依然としてはびこるハラスメントにもメスを入れるという。芸能事務所、それと結託するメディア、さらに広告、政界まで利権でつながる闇の構図を浮き彫りにして欲しい。そして長年の膿を出し切る機会になることを期待する声なき声は、実際のところ、関係者の中にも少なくないのだ。 奴隷契約ともいわれる芸能プロとタレントの契約。そうした力関係を背景にした、悪質なハラスメント。ごく一部の者が権力をかさに、性的搾取を繰り返してきた。ジャニーズ問題もその構図にあてはまる。まさに連綿と続く悪しき日本社会の縮図なのである。
「ジャニーズ性加害」民放キー局、大新聞文化部は未だにスルー、外圧でしか動かない日本社会の悪しき縮図
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