「ジャニーズ性加害問題」のウラでうごめく、他事務所の“引き抜き”と「K-POPアイドル」推し

雪崩を打ったように続々と大手企業のジャニーズ離れが始まっている――。

アサヒグループHD、キリンHD、日産自動車、サントリー、伊藤ハム、マクドナルドなど……日本人なら知らない人はいない大企業が、次々とジャニーズ事務所とのCM契約について「期間満了後契約更新しない」意向を明らかにした。

また、森永乳業はヨーグルトのCMに井ノ原快彦を、東急不動産HDは『東急リバブル』のCMに岡田准一を、あいおいニッセイ同和損害保険もCMに岡田准一と『なにわ男子』の西畑大吾を起用している。当然ながら、彼らも影響を受けることになる。

企業が広告にジャニーズタレントを起用しない方針を打ち出したことで、懸念されるのはテレビ、ラジオ番組にジャニーズタレントが出演継続できるかということ。

「自社の広告にジャニーズタレントを起用しないと明言した企業が、自社がスポンサー契約している番組にジャニーズタレントが出演している場合、あるいはジャニーズの冠が付いた番組にスポンサードしている場合、方針の首尾一貫性が感じられず非難が集まると思われます。

番組にジャニーズタレントが出演することに関しては、スポンサーは口出ししないとしていますが、声なき無言の圧力がかかると思いますね」(広告代理店社員)

ジャニーズタレントの出演を継続した場合、スポンサーが離れる可能性が出てくるわけだが、テレビ局側としてはスポンサーが離れてしまっては番組制作が成り立たなくなる。となれば“忖度”でジャニーズタレントの降板が進む恐れが出てきたということだ。実際に影響が出てきているところもある。

「いま民放ではジャニーズタレントが出演している番組がどれだけ多いか。彼らの出演なくして番組が作れないと言っても過言ではありません。

今はまだ“タレントに罪はない”という声に救われているようですが、このままで済むとは思えません。ジャニーズ事務所と契約を継続しているテレビ局に非難の声が上がるのは避けられなくなるでしょう」(キー局プロデューサー)

となれば、ジャニーズ事務所の所属タレントである限り、この先テレビ、ラジオでの出演は難しくなる可能性大となる。ジャニーズタレントが生き残る手段はあるのか。

「手っ取り早いのは、事務所を退所することですね。今の時代、大手の事務所に所属しなくても才能さえあればいくらでも仕事は入ってきます。ポジションを獲得したタレントなら何も困らないと思います。今なら変な圧力もかからないでしょうし……。

さらに、ジャニーズ事務所に“うちで引き受けますよ”と名乗り出ている大手の事務所が何社かあると聞いています。タレント個々に声をかけているところもあるようです。ただ、事務所としては今いるタレントを絶対手放したくないでしょう」(老舗芸能プロ幹部)

ファンクラブの会費やライブ、グッズの売り上げなどで、毎年数百億は入ってくる。たとえテレビの出演がなくなっても事務所としては大きなダメージはない。

「つまりマネージメント料は取らず出演料などの報酬はすべてタレントに渡すことにしたのは、タレントを引き留める苦肉の策だったんでしょうね」(同・老舗芸能プロ幹部)

このままでは、テレビからジャニーズタレントが消える可能性はなくならないのだが、そうなった場合、テレビ局としてはその穴をどうやって埋めるのだろうか。

実は、もう次の手を考えているというのは前出のキー局プロデューサーだ。

「ジャニーズタレントに代わって、白羽の矢が立っているのがK-POPアイドルです。K-POPアイドルと言っても今は韓国のタレントだけでなく日本人のタレントも増えました。男女合わせて100人以上もいます。

彼らの人気はすさまじく、まだジャニーズには届きませんが遜色ないところまで来ています。ファンの中にはジャニーズファンと被る人もいる。こう言っては何ですが、ジャニーズのタレントに比べて歌もダンスも完成された感があり、タレントとしてのクオリティーは高いと思います」(前出・キー局プロデューサー)

それを見込んでなのか、既存の大手芸能プロの中にはK-POPアイドルを所属させたり、業務提携を結んでいるところもすでにある。

「日本にK-POPが入ってきたばかりのころも、国内の大手芸能プロが彼らと業務提携して、テレビ局などに力業で売り込み、いや“ねじ込んで”いましたからね。ジャニーズ事務所がなくなっても、業界の体質が変わるとは思えないですけどね……」(ワイドショースタッフ)

ジャニーズ事務所の影響力がなくなった今、取って代わろうとしているプロダクションは1つではない。テレビ局の姿勢が変わらない限り、芸能界の勢力地図は塗り替わっても歪んだ構図は変わらないだろう――。

取材・文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中

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