2022年の8カ月累計で既に前年を上回る多さ
「円安倒産」が急増している。円安による輸入コストの上昇などが直接・間接要因となって倒産した円安倒産は、2022年8月で7件発生した。8月としては2年ぶりの発生となったほか、前月(1件)から大幅に増加した。また、2022年1~8月の累計件数は9件となり、既に前年(5件)を超え、3年ぶりの前年比増加となる。業種別では、食料品や繊維製品、機械部品の製造や卸売といった産業が中心で、いずれも急激に進んだ最近の円安が倒産要因として挙げられた。 円安倒産は2014~16年にかけて、月平均20件ペースで発生。しかし、その後1ドル110~120円で安定したこともあり、2017年以降は月1~2件程度にとどまるなど落ち着きをみせていた。しかし、2022年に入り円安が急速に進行しており、9月には24年ぶりの1ドル140円台を記録した。1年で30円近く下落した「スピード円安」で発生した予期しないコスト増が重荷となり、単月としては2016年5月(12件)以来6年ぶりの高水準を記録した。 帝国データバンクが8月に実施した調査では、企業の約8割が急激な円安によるコスト増加を実感していると回答した。足元では燃料費や電気代のほか、2万品目に上る食料品、木材といった建設資材など幅広い分野で価格が引き上げられる。一方、中小・零細企業の多くで販売価格への転嫁が十分とはいえず、円安倒産は今後増加傾向に転じる可能性がある。