仙台市中心部で利用できる有料貸自転車事業「DATE BIKE(ダテバイク)」の青葉区一番町にある専用駐輪場(ポート)から大量の自転車があふれていると「読者とともに 特別報道室」に情報が寄せられた。時間帯によってオフィス街のポートは利用が集中し、駐輪スペースを上回る台数が止められている。ニーズとスペースのミスマッチに加え、運営事業者がポートを管理しきれていないことも分かった。
街の景観を損ねる
通行人が行き交う一番町4丁目のオフィス街。今月初め、ビルの敷地内に設置されたポートを訪れると、赤い自転車が無秩序に置かれていた。50台ほどあるが、駐輪用のラックは8台分しかない。
ダテバイクを通勤に利用しているという20代女性は「夜はほとんどないので、通勤に使う人が多いのだろう。(増えると)横にどんどん広がる」と話す。乱雑に並んだ自転車は街の景観を損ねてもいる。
情報を寄せた男性に話を聞くと、2年ほど前から台数が増えた。自転車に阻まれ、荷物を運びにくそうにしている運送業者もいるという。
ダテバイクは仙台市が2013年度に導入した。運営事業者のドコモ・バイクシェア(東京)によると、市内のポート約120カ所のうち、ここは利用者が多く1月の返却数が1位、貸出数が2位だった。
事業者「過密解消を強化」
ダテバイクはコロナ禍に利用者が急増。市自転車交通安全課によると、19年度に約46万だった利用回数は今年1月末時点で86万を超えた。一方、ポートは19年度から約30カ所しか増えていない。ポートを増やせば過密状態は解消できるのではないだろうか。
加藤隆一課長は「土地の貸借契約を結ぶのに半年から1年かかる。利用が過密な場所で、車道からある程度離れて自転車を止められる広さの土地を見つけるのは難しい」と説明する。
ドコモ・バイクシェアは過密を避けるため、自転車の衛星利用測位システム(GPS)の位置情報を基に毎日、トラック2台で自転車を回収して再分配しているが、情報提供のあったポートの過密状態は把握できていなかった。
同社担当者は「混雑しているポートに優先的にトラックを回し、過密対策を強化したい」と話す。(高橋葵)
[ダテバイク]料金は「1回会員」が60分以内165円、30分以内0円の「月額会員」が2200円(4月1日から3300円)。インターネットからの会員登録が必要。3月1日現在の自転車台数は940台。