仙台市中心部で利用できる有料貸自転車事業「DATE BIKE(ダテバイク)」は6月1日午前0時、専用駐輪場(ポート)7カ所で駐輪台数制限を始める。収容能力を超えて敷地外に駐輪する事例が後を絶たず、初めて規制措置を取る。現状を取材した。(せんだい情報部・吉江圭介)
[ダテバイク] 2013年3月、仙台市のコミュニティーサイクル事業として自転車100台、ポート12カ所で始まった。23年度末時点で自転車は1000台、ポートは135カ所に増えた。年間利用回数は3万6000回(13年度)から、107万5000回(23年度)と30倍になった。料金は「1回会員」が60分以内165円、1回30分以内なら0円の「月額会員」が3300円。
対象のポートは青葉区の中央1~3丁目、国分町1丁目、本町2丁目と宮城野区榴岡4丁目、若林区清水小路の7カ所(地図)。いずれも地権者から駐輪制限の要望があった。
制限台数に達すると、駐輪しようとしても自転車のパネルや操作端末で返却の手続きができなくなる。アプリで該当するポートや駐輪可能台数をリアルタイムで確認できる。
運営するドコモ・バイクシェア(東京)によると、地権者から「自転車がスペース外に止められ、景観を損なう」といった相談が寄せられていた。ポートの数がサービス開始時の10倍以上に増え、自転車を回収して台数を調整する対応では追い付かない状況が2022年ごろから続いていた。
他のポートも地権者の要望を踏まえて対応を検討する。同社の担当者は「目的地のポートが台数制限の対象となる場合、返却できるかどうかアプリで事前に確認し、満車時は目的地周辺の別のポートに返してほしい」と呼びかける。
記者が現地を取材すると…制限台数の4倍の駐輪確認
実態把握のため今月10日と17日、全7カ所を回り、4カ所で6月以降の制限台数を超える駐輪を確認した。仙台駅に近い青葉区中央3丁目の「地下鉄仙台駅西1出入口」は5台に制限される。10日午後は20台が置かれ、1台の前輪が南町通の歩道にはみ出していた。
自転車を駐輪しに来た青葉区の会社員男性(39)は「いつも同じぐらいの台数がある。地下鉄出入り口のエスカレーターまではみ出ることもあった」と制限に理解を示す。一方で「満杯になって近くのポートを探すのは大変。5台は少ないので、もう少し増やしてほしい」と要望する。
市自転車交通安全課の佐々木朝一郎課長は「利用頻度の高いポートは自転車があふれ、通行人や近隣住民に迷惑をかけることがあった。みんなにとって気持ちの良い環境になるように、新しい仕組みに沿って利用してほしい」と話す。
制限対象のポートは次の通り。
①青葉区中央2丁目の「ガスサロン」(返却制限台数10台)
②青葉区中央1丁目の「山一仙台中央ビル」(12台)
③青葉区国分町1丁目の「enspace」(5台)
④青葉区中央3丁目の「地下鉄仙台駅西1出入口」(5台)
⑤若林区清水小路の「東日本不動産仙台ファーストビル」(4台)
⑥青葉区本町2丁目の「プラウド錦町公園」(10台)
⑦宮城野区榴岡4丁目の「ホテル仙台ガーデンパレス」(15台)