「チェンソーマン」などで知られる人気漫画家藤本タツキさん原作のアニメ映画「ルックバック」が6月28日、全国公開される。原作は一部描写が藤本さんの出身地・秋田県にかほ市を思わせると話題を呼んだ経緯があり、地元は早くも「聖地巡礼」などの好影響に期待を膨らませている。
藤本タツキさん原作「ルックバック」6月28日全国公開
ルックバックは、画力に自信を持つ小学4年の主人公藤野と、不登校の同級生京本の少女2人が漫画の共作を通し成長する様子を描く青春物語。集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で2021年に無料公開されると閲覧回数は1日で250万回を記録し、高い評価を集めている。
原作は電車や田園風景、店舗の描写が、にかほの風景をモデルにしているのでは、とファンの間で話題になった。今月中旬に公開された映画の予告映像は交流サイト(SNS)で大きな反響を呼び、劇中の方言を「秋田なまりでは」などと推察する声も相次いだ。
外観そっくり
公開が2カ月後に迫り、にかほ市の盛り上がりは熱を帯びている。市内の文林堂書店は、原作で主人公がスケッチブックなどを買う書店と外観がそっくりの「聖地」としてファンに親しまれている。
同店は藤本さんが少年時代に通い、コミックをまとめ買いしていたという。客伝いに「店が登場している」と聞いた社長の斎藤文孝さん(57)は「灯油タンクの位置まで完璧に再現されていて、すぐにうちへのオマージュだと確信した。本当に驚いた」と振り返る。
市の広報誌に画像も
原作公開から3年近くたつ今も時折、ファンが店を訪ねる。「作品を通じ、人の縁を感じる。映画化で、より多くの人が地域に来て町おこしにつながればいい」と斎藤さん。「店がどのように描かれているのか映画館で見るのが楽しみだ」と目を細める。
広報の表紙に
市も作品を応援しようと動き出した。制作会社などの許可を取り付け、市広報今月1日号の表紙にルックバックの画像を採用。映画公開と藤本さんの活躍を大きく伝えた。
市は今後、藤本さんの作品や「巡礼」の動きを地域活性に結び付けるべく、庁内で議論を本格化させる。
斎藤邦総務課長は「海外でも注目されており、人気ぶりは誇らしい。(作品の描写と市の関係は)公式ではないが、ファンの聖地巡礼が広がれば市としても盛り上げていきたい」と力を込める。