「テレビ微増、ラジオ微減」2016年度営業収入見通し

地上波テレビ営業収入予測総括表

民放連の研究所は1月29日、2016年度のテレビ・ラジオ営業収入見通しを発表した。「見通し」は例年どおり、回帰モデルによる推計とテレビ・ラ ジオ各社へのアンケート調査を基に予測している。前提となる2016年度の日本経済は実質GDPで1.2%、名目GDPで1.7%の成長率となると設定。 日本経済研究センターの短期予測を基にした。

テレビ見通し

【2015年度見込み】

営業収入は全体で0.2%増の2兆1570億円程度となると見込んだ。東名阪0.3%増、ローカル・ネットワーク系列局0.3%減、独立局±0%と した。上下半期別では、上期0.5%減から下期0.7%増と回復基調を予測した。東名阪15局が下期にプラスに転じる一方、ローカルは上下期ともほぼ同程 度のマイナスが続くことを見込んだ。

営業収入の内訳では、スポットは0.3%増とかろうじてプラスに。東名阪0.6%増、ローカル0.6%減、独立局9.6%増とした。ローカルは本社よりも支社でより苦戦したと推測。タイムは全体で1.4%減と14年度の増収(0.5%増)からマイナスに転じると予測した。

地区別では、三大広域圏は関東と近畿が微増、中京がわずかにマイナスとした。

広告収入を主体とする民放BS7社の2015年度営業収入は、合計で890億円程度、前年度比5.4%増と2012年連続の増収を見込んだ。 2015年4月から開始された機械式接触率調査の影響はまだ大きくなっていない模様としている。通販番組や1社提供番組がおおむね堅調としている。

【2016年度見通し】

地上テレビ全体で0.5%増の2兆1688億円程度を予測した。東名阪0.6%増、ローカル0.4%増、独立局0.5%増といずれも増収を予測している。内訳ではスポット1.3%増とプラスが継続、タイムは0.4%減とほぼ横ばいを予測した。

BSも前年度比4.1%増の926億円と増収の継続を予測。一部の社でネット配信が開始され、オンエアとの連携も行われている。BSは地上テレビとはかなりの程度すみわけが成立しているため、競合の度合いは低いとした。

ラジオ見通し

【2015年度見込み】

ラジオ単営社とラジオテレビ兼営社のラジオ営業収入の合計は、前年度比1.9%減(中短波2.9%減、FM0.5%減)の1457億円(中短波 839億円、FM617億円)程度を見込んだ。上下期別では中短波が上期2.4%減、下期3.3%減とマイナス幅が拡大。FMは増収から減収に転じること を見込んだ。

内訳をみると、スポットは全体で2.8%減、中短波3.8%減、FM1.6%減。タイム(タイム電波料+制作収入)はラジオ全体で0.8%減、中短波0.9%減、FM0.6%減といずれも厳しい数値を予測した。

【2016年度見通し】

2016年度は、ラジオ全体で前年度比0.2%減の1454億円程度と予測。中短波0.6%減(834億円)、FM0.3増(619億円)とほぼ横ばいを予測。中短波は減収幅が縮小し、FMは若干ではあるが増収に転じると見込んだ。

今回の見通しの前提となる2016年度の日本経済は、リスク要因として、中国経済の減速や米利上げによる新興国市場の混乱、テロなどが挙げられている。テレビ・ラジオとも経済環境の下振れによるマイナスの懸念も指摘されており、予断を許さない。

文/明石庸司

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