「デブ=クサい」は誤解なのか…その医学的メカニズムとは?

デブのデブによるデブのためのファッション&ライフスタイルウェブマガジン『Mr.babe』編集長の倉科と申します。

◆なぜ「デブはクサい」と思われてしまうのか?

「イメージ臭」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 例えば、ヨレヨレのトレーナー、伸びまくったスウェットパンツ、垢で真っ黒になったシャツの首元、そのほかにも猫背やガニマタ、脂ぎった髪の毛、覇気のない表情……。こういった視覚から入る「ダメな見た目」から人は(特に女性)はニオイを連想し「クサそう! というか、クサい!!」と、本当は臭わないかもしれないのに、そのイメージから「汚臭」を感じ取ってしまうらしいのです。

 私も以前、インタビューで女性に「太った人の臭いってどんなイメージですか?」と聞いたときに「なんか太ってる人って、おでんクサくないですか~。ていうか、人によっては機械油のニオイっていうか、とにかく遠くからでもそんな臭いを感じることがあるんですよね……」と言われました。

 デブ代表の私としては非常に心外ですし、「よっぽど汚デブ(不潔なデブ)でもない限り、そんな遠くから臭うわけないでしょ!」と思い、調べてみたところ、「イメージ臭」という言葉が存在することを知ったのです。

「デブ=クサい」なんて、清潔なデブにとっては誠に心外である話だし、普通体型の人だってニオイのケアをせず、不潔であればクサいはずなのに……。そう言ったところで、人が感じるイメージの問題なので誰を責めるわけにもいきません。

 だからこそ「自分はほかのデブとは違う! 清潔なデブです!」という印象を与えられるよう、外面的にも内面的にも心がける必要があるのです!

◆汗による体臭には2つのパターンがある

 以前、ワキガ、体臭、多汗治療のスペシャリストの医学博士に話をお聞きしたところ、「デブ=クサい」のメカニズムを説明してくれました。

「人間には、体の機能を維持するために脳があります。脳はコンピュータと同じで、熱に弱く、常に温度を一定に保ちながら、体内のさまざまな機能を損なわないよう調整しているんです。『高熱が続くと脳に障害が出る』という話を聞いたことがあると思いますが、そうならないように汗をかき、体の温度を下げています」とのこと。

「この汗のもとになるのは『血しょう』と呼ばれる血液中の成分が薄まったもので、99%は水でできていて、水ゆえに通常は無臭だが、汗をかく量が増えると血液中の成分が一緒に出てしまうため、クサくなるんです。ぽっちゃり体型は脂肪という断熱材をまとっているので、通常体型の方より温度を下げるために必要な汗を多く放出しなければならないんです」。その先生はそう教えてくれました。

 大きく分けると、デブには全体的にムッチリモチモチしている「皮下脂肪」タイプと、ポッコリとみぞおちからおへそにかけて腹が出ている「内臓脂肪タイプ」の2パターンがあり、同様に汗による体臭も2パターンに分かれるそう。

「皮下脂肪タイプ」は汗の量も多いので、当然、普通体型の人よりクサくなるリスクが高い。ただし、まめに汗対策をしていればそれほど気にはならない。

 一方、「内臓脂肪タイプ」は腸や内臓といった体内の重要な器官の周りに脂肪が蓄積するため、体内の深部温度を上げやすくなり、汗をかくことが増える。その際に「遊離脂肪酸」に発生しやすくなるらしいのです。血液中の遊離脂肪酸濃度が高くなると、汗として分泌されるようになり、汗(そして息も!)が強烈に臭う結果になってしまうとのこと。

◆急激なダイエットもイヤな体臭の原因に

「じゃあ、痩せればいいんだろ!」と感じられる方が多いと思いますが、実はそこにも落とし穴があるのです! たしかに体にまとっている断熱材(脂肪)を剥ぎ取ることが臭い対策の近道ではあるのですが、しかし、それですべてが解決するかというと、そうでもないのが人体の不思議なところなのです。

 その先生曰く「急激なダイエットも臭いを悪化させる原因になるんです。これはダイエット臭と言って、過度なダイエットにより体が飢餓状態になると、皮下に貯蔵されている脂肪を分解し、エネルギー源として体内の機能維持に使われる。しかし、脂肪を分解すると、血中の遊離脂肪酸が増加することになり、それが皮脂腺や汗腺から分泌され、体臭が強くなってしまうケースが多いんです。この状態を回避するには、過激なダイエットはせず、節度のある食事制限を行い、汗腺を鍛えるための運動を併用することが大事」とのこと。

 日本のデブを応援する私が声を大きくしていいたいのは「デブは武器になる」。しかし、「不健康なデブ」になってしまうと、イメージ臭を感じさせる「汚デブ」になってしまうので、くれぐれも注意していただきたいということ。それには適度な運動と、バランスを考えた食事、そしてまめに汗を拭き、シャツやアンダーウェアの着替えを持つなどの「美デブ対策」を怠らないよう気をつけようではありませんか。

 美デブは1日にしてならずです!

【倉科典仁】
渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』の創刊編集長を務めたほか、暴走族雑誌『ティーンズロード』や『特攻服ファッションカタログ』、『作業服スナップ』などエッジの効いた若者カルチャーをテーマにした雑誌を多数手掛ける。現在はウェブマガジン『Mr.babe』でデブに特化したファッション&ライフスタイル情報を毎日配信中

タイトルとURLをコピーしました