「ドライブ・マイ・カー」ロケ隊が舌鼓、小さな町の名物「トンカツラーメン」

映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が28日(日本時間)、米アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞したことを受け、クライマックスシーンのロケが行われた北海道赤平市では、撮影に協力した関係者から喜びの声が上がった。

 2020年12月に行われたロケには、濱口監督や、主人公を演じる西島秀俊さんとドライバーのみさき役の三浦透子さん(北海道出身)のほか、スタッフら数十人が訪れ、赤平市のズリ山近くや芦別市の国道38号などが撮影現場となった。

「ドライブ・マイ・カー」の米アカデミー賞受賞を受けて喜びに沸く赤平市の関係者ら(28日、北海道赤平市の珍来で)=成田さん提供
「ドライブ・マイ・カー」の米アカデミー賞受賞を受けて喜びに沸く赤平市の関係者ら(28日、北海道赤平市の珍来で)=成田さん提供

 赤平市ではこの日、ロケ隊に店の名物「トンカツラーメン」を提供した飲食店「珍来」を会場に朝7時頃から待ち会が開かれた。撮影に協力した市民ら十数人が集まり、受賞が決まると全員が大きな歓声を上げ、手をたたき合って喜んだ。

 みさきの実家跡地を、西島さんと三浦さんが車で訪ねるクライマックスシーンには、土砂崩れでつぶれたという設定の廃屋が使用された。重機を提供して廃屋のセット設営に携わった赤平市の東栄建設工業社長の川向康徳さん(56)は「私たちの住む小さな町が映った映画が、世界中の人が見る作品になり、本当にうれしい」と喜んだ。

 撮影にはずっと立ち会っていたといい、「カラスの鳴き声で何度も撮影がストップし、スタッフの方々が追い払うのにとても苦労していた。でも、ロケ隊は監督も含め、とてもアットホームな雰囲気で感心した」と振り返った。市内での撮影を世話した市商工労政観光課主幹の成田博之さん(51)は「世界が評価する映画で、赤平の景色が紹介されることになり、とても名誉なこと」と興奮気味。

 ロケで赤平の名物「がんがん鍋」を全員に振る舞った際、「皆さん、『体が温まる』と喜んでくれた。とくに濱口監督が『おかげでいいシーンが撮れた』と満足してくれたのが、うれしかった」と笑顔を見せた。

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